150518
この美術館では、ただいま、「ルーブル展」と併催という贅沢ぶり。余裕があれば、両方へと思っていたが、その前に、先日招待券をもらった「太平洋展」を覗いたら、今日は「国際博物館の日」だから、誰でも無料とか。
そんな日があるとは知らなかった。しかし、この日、どの美術館も無料になるわけではないようだ。拍子抜けしながら、一応、鑑賞してきたが、特段のことはなかった。ただ、この太平洋美術会というのは、明治22年発足の日本最初の洋画団体というから、驚きだ。先日鑑賞した三軌会とは比較にならない老舗美術会なのである。
さて、マグリット展。日本でのまとまった作品数の展示としては、13年ぶりとか。それほど本格的な回顧展で、油彩をメインに、グアッシュやテンペラを含めて131点というから物凄い。
例によって、初期の作品はそう描いていいか、ピュリズムやらいろいろ試しているのがよくわかる。やがて急速にキュービズムに傾倒していき、存在を世間に知らしめるようになっていく。
しかし、第2次世界大戦中ぐらいから、急に派手な色彩が登場、あたかもルノワールのような描き方がしばらく続いた後、フォーヴに対抗して、ヴァッシュ(雌牛)などと、なかば卑下した呼称をつけて、ま、言って見ればメチャクチャな作品を描くようになり、やがて世間から忘れらていく。
そして、1950年頃にこりゃいかんとさすがに気づいたのだろう、1930年頃の自分に回帰するが、それはその時代の模写ではなく、新しい発見を伴うもので、ここからがマグリットらしさが俄然鮮明になる。「傑作、あるいは地平線の神秘」(1955)に、初めてあの帽子をかぶったマグリットが画面に登場。
この後は、誰もよく知るマグリット・オン・パレードとなる。帽子の紳士、空、海、森、鈴、無重力、飛翔などが頻繁に登場してくる。
こうした良き時代の作品を日本の美術館が所蔵しているというのは嬉しい。大阪新美術館、宇都宮美術館、宮崎県立美術館、姫路市立美術館、東京富士美術館(八王子)などなど。
見所は公式HPの「展覧会構成」を。