ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「涙するまで、生きる」

150612 原題:LOIN DES HOMMES(人々から遠く)仏 101分 原作:アルベール・カミュの短編、L'Hôte (「客」) 監督・脚本:ダヴィッド・オロファン

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ヴィゴ・モーテンセンが、何と言っても素晴らしい。監督は彼しか主演を演じる人はイメージできなかったらしい。モーテンセンも、監督に請われて、1週間後に諾の返事をしている。

舞台は1954年、フランスからの独立を目指すアルジェリア。とある山中にポツンと一軒の学校。元軍人、ダリュ(モーテンセン)は軍籍から離れ、今はこの人気のない寒村の小学校で、しがない教師をしている。そこへある日、憲兵がモハメッド(レダ・カテブ)という地元民を連行してくる。いとこ殺しで、別の町へ連行して裁判にかけると言う。

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⬆︎復讐しようとモハメッドの引き渡しを迫る一団に急襲されるが、ダリュ、敢然とこれを拒否。小競り合いとなり、相手の馬が犠牲になってしまう。

囚人を置いて行かれたダリュ、困惑しつつも、黒板に生徒たちへのメッセージを残してモハメッドをその町へ連れていく行くことを決意。だが、途中で思わぬ待ち伏せに遭い、気がつけば、フランス軍とアルジェリア民兵たちとの戦いに巻き込まれてしまう。⬇︎

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すったもんだの挙句、二人はなんとか目的地付近まで辿り着く。道中、次第に囚人と心を通わしていくダリュ、左に行けばその町、右に行けば砂漠。砂漠の民は必ずお前を助けるからと、右へ行くことを強く示唆するのだった。

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⬆︎ラストシーン。町で裁判を受けるか、それとも砂漠へ脱出するか。右の人影は遠ざかるダリュの後ろ姿。ジーンと来る場面だ。長考の末、右へと進路を取るモハメッドの表情には躊躇いと安堵と、悲しみが。

アトラス山脈の絶景が素晴らしい効果を生む。それから、この邦題のつけ方はいかがなものか。モハメッドの心情を言っているのだろうが、もう少しなんとかならなかったか。

 

#42 画像はIMdb及びALLCINEMA on lineから