ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ハイネケン 誘拐の代償」

150617 原題:Kidnapping Mr. Heineken ベルギー、英・蘭合作 95分 [監]ダニエル・アルフレドソン(「ミレニアム 2」同じく「ミレニアム3」)

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幼馴染で、ごくありきたりの若者5人が、有名なビール会社の社長を誘拐する話。仕事上で行き詰まったコル(ジム・スタージェス)、帰省した際に、何気なく父親から聞かされたハイネケンの話にヒントを得て、誘拐をたくらむ。

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さっそく幼馴染を誘い、計画を打ち明ける。半信半疑で聞いていた仲間も次第に実行へと傾く。まずは計画実行のための資金作りで、⬆︎銀行の現金輸送車を遅いまんまと大金をせしめることに成功する。意外にチョロいと計画成功に自信を持つ犯人一味。

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計画通り、本社から出てきたハイネケンを運転手もろとも誘拐し、アジトに監禁⬆︎、同時に警察に身代金要求の書簡を届ける。ところが、待てど暮らせど、警察からの接触もなく、すでに3週間。さすがに焦りをにじませる一味。

それでも身代金が入り、有頂天になって、それぞれ思い描いていた次の人生に向かって散っていくが・・・結局、全員が捕まり、現在もなお服役中。そう、これは実話である。一人の死者も怪我人も出さなかったことが唯一の救いかも。

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ちょっと金に困ったぐらいで立てた甘く杜撰な計画で、到底百戦錬磨のプロ集団の警察相手に、成功するはずもない。警察を甘く見ていたこともあるが、彼らが素人同然と見て、持久戦に持ち込んだ地元警察は、事件発生直後から、逮捕は時間の問題と踏んでいたのだろう。

運河が細かい網の目状態の狭い市内のカー・チェイスや、車とボートのチェイスなど、珍しい見せ場はあったものの、いささか期待外れの観は否めない。見ている側にやすやすと先が見通せてしまうような脚本はいかがなものか。

ハイネケンを演じるアンソニー・ホプキンス、出番が少ないが、さすがの存在感を示した。逆に、この程度の役柄に、よく出演に応じたものとも。ハイネケンが監禁中に犯人側に言った言葉が印象的。

「この世には、人が豊かになるのに2つの方法しかない。一つは大金持ちになること、そして、もう一つは多くの友人を持つこと。両方持つことはできない。」There is two ways a man can be rich in this world , he can have a lot of money or he can have a lot of friends , but he cannot have both. 果たして、ハイネケンはどうだったのか。

劇中、一緒に監禁された運転手のことを、ハイネケンがしきりに案じる場面が出てくるが、運転手が案外ハイネケンの数少ない友人の一人だったのかも知れない。

#46 画像はIMdb及びALLCINEMA on lineから