ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「チャイルド44 森に消えた子供たち」

150708 原題も CHILD44 米 133分 [監]ダニエル・エスピノーサ(顔と名前からして、ヒスパニックだが、ストックホルム生まれのスェーデン人、「デンジェラス・ラン」)、[製作]リドリー・スコット

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スターリン時代のソ連共産主義下の楽園国家ではあり得ないとされていた殺人事件、ましてやおぞましい幼児連続虐殺事件など。

友人の子供もが犠牲者の一人になったことに強い衝撃を受け、この事件解明を決意する国家保安庁の役人、レオ・デミドフ(トム・ハーディ)が、部下の裏切り、上司の無理解から辺境の地へ飛ばされてもなおひるまず、一時はスパイではと疑う妻ライーサの協力を得て、敢然と犯人を追い詰め、遂には解決へと導くまでの必死の生き様を描く。

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(上右)レオに扮するトム・ハーディ、つい最近マッドマックスで見たばかりだが、無骨でも愛情深いレオという難しい役どころをうまく演じている。独特の味わいを持つ男優だ。

一方、妻ライーサを演じるスェーデン女優、ノオミ・ラパスも最初に見た野性味たっぷりの「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(2009)に比べ、5年で随分洗練された中堅女優に変身していると感じた。

練りに練ったと思われる複雑な構成ゆえ、途中、なんども筋道を間違えそうに。それにしても、密告と裏切りが日常茶飯事という何とも陰惨で暗い時代を、孤児から身を起こし、運命を味方につけ、次第に這い上がり、昇進、降格、左遷を繰り返し、最後はMGB(国家保安庁)に返り咲いただけでなく、殺人事件を専門に扱う部門トップにのし上がった主人公に喝采だ。

#53 画像はALLCINEMA on lineから