ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「終電車」

150714

f:id:grappatei:20150714202520p:plain

渋谷Bunkamuraで開催中のヌーヴェルヴァーグ特集。リストをチェックしたら、この時代の仏映画って、案外見ていないことに気づく。もっぱらイタリア映画ばかり見ていたらしい。そんな中で、1本だけ見に行くことに。それがフランソワ・トリュフォーの名作の一本、「終電車」。原題もLe Dernier Métro。時は1942年、独軍に占領されていたパリ。夜間外出禁止令が出ていたため、メトロの終電は11時。これを逃すと、行き場がない。

f:id:grappatei:20150714202537p:plain

そんな時代背景が冒頭で紹介される。モンマルトル劇場を切り盛りするマリオン(カトリーヌ・ドヌーヴ)新作「消えた女」の準備に忙しい。自ら主役をやりながら、経営もこなすし、実はユダヤ人という理由で、南米に逃亡したことになっている支配人・演出家である夫ルカを、なんとこの劇場の地下にかくまっていて、彼の世話もするという、一人で何役もこなしている身。

f:id:grappatei:20150715110205j:plain

そんな中、相手役としてベルナール(ジェラール・ドゥパルデュー)が応募してくる。グラン・ギニョール(怪奇劇場)出身だが、なかなか見所もあり、即決定。なにせ時間もないし、人選でもたつくわけにも行かない。

そして初日を迎え、予想以上の大好評。地下で空気管を通して一部始終を聞いていたルカの評判もすこぶる上々。このまま行けば、なんとか終戦まで持ちこたえられそうという予感も胸に去来し始めるマリオンだったが・・・。

今回の上映は、35年前のフィルムということもあり、リマスター版に焼き直してあるから、実に綺麗な映像。しかもドヌーヴが最も輝いている頃らしく、全面に彼女の美しさを表現していて、コスチュームやセットの色使いなども、彼女の瞳の色やブロンドに見事に調和されていて、ドヌーヴ・ファンでなくても、うっとりしてしまうほどの出来栄え。

若き日のドゥパルデューも、なかなかかっこいい。この頃はまだそれほど肥大化していないし、十分ドヌーヴの相手が務まる。

やはりこの一本を選んで良かった!

#55 画像はALLCINEMA on lineから。