ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ボヴァリー夫人とパン屋」

150717 原題:Gemma Bovery 99分 仏 [監・脚]アンヌ・フォンテーヌ(「ココ・アヴァン・シャネル」'99)

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典型的なフランス風喜劇。ラストは大爆笑。ひたすら大真面目な顔で演じる主役のファブリス・ルキーニにBravo!!である。

パリの喧騒を嫌って、ここ静かなノルマンディーの一隅に引っ越してパン屋を営むマルタン。やや倦怠期の奥さん、高校に通う一人息子の3人家族。割に知識レベルの高いマルタンは、かなりの文学通だが、実はとてつもない妄想癖が。

ある日、隣に引っ越してきたばかりの若夫婦のところに、挨拶に行くと、ロンドン出身のイギリス人と分かる。名前を聞いてびっくり。あのフローベールの代表的著書である、ボヴァリー!ここから得意の妄想がどんどん勝手な方向に引っ張り回し、気づいてみれば、とんでもない結末が待っている。

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⬆︎パン好きのボヴァリー夫人ジェンマ・アータートン)、毎日のように店にやってくる。久しぶりにムラムラするマルタン、完全に彼のタイプである。

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⬆︎パン作りの工程を見たいとボヴァリー夫人に言われ、さっそく手ほどき。(このシーン、いくらなんでもパン生地をこねくり回している最中に髪をかき上げたりって、そりゃーないでしょう)

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⬆︎互いに犬の散歩の途中、森の中で出会うマルタンとボヴァリー夫人。突然、蜂が彼女の背中に。刺されて痛がるので、毒を吸い出すしかないとマルタンが言うと、”Suchez, suchez-moi!!"(吸い出して!)と絶叫。(もうこんな言葉まで即座にフランス語で言えるほど上達?)

偶然再会して、復縁を迫る元カレ、気まずくなって一旦ロンドンに帰ってしまったダンナ、不倫をしてしまう、只今豪華なシャトーで一人、受験勉強中の美男の学生、そしてマルタンと4人の男を手玉にとって、最後はマルタンが差し入れたパンを喉に詰まらせてあっけなく急死。

それから半年、彼らが去って空き家になっていた隣家に誰かが引っ越して来る。普段、両親から散々ボロクソに言われている一人息子が、「ロシア人らしいよ。なんか有名な小説の主人公の名前みたいな・・・」ここまで聞くや否や妄想を膨らませてしまったマルタン、さっそくご挨拶に・・・息子に一杯食わされたとも知らず。

ジェマを演じたジェマ・アータートン、「アンコール!!」で老人ホームの歌の指導員を演じた時は地味な役柄だったこともあり、まったく目立たない存在だったが、本作では一転、色気ムンムンで、結構大した女優かも知れない。ロンドン郊外出身の29歳。

#56 画像はALLCINEMA on line及びIMdbから