ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「マリオ・デル・モナコ生誕100周年&レナータ・テバルディ没後10周年記念ガラ・コンサート

150719 オペラ界のスーパー・レジェンドの二人、生誕と没後の違いはあれ、区切りの年に当たることをうまく結びつけた演奏会。テバルディはデル・モナコより7歳年若だが、共に黄金期に一緒に来日している。それが1961年秋の第3次NHK招聘イタリア歌劇団公演。この年、東京文化会館が春にオープンしているので、初めてここで開催されることに。(因みに、その後NHKホールができるまで、ここで公演を行っていた)

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素晴らしい演奏会だった。上のチラシの一番下に記載のある司会・解説  酒井章(通称フランコ)さんの企画だから、はずれることは、まずあり得ない。この方、FBにも頻繁に登場するが、オペラに通暁しているだけでなく、シャンソン、カンツォーネ、はたまた演歌まで、実に幅広くカバーしている。しかも、現役のサラリー・マンで、とてつもなくエネルギッシュな人だ。愚亭も何年も前に文京オペラで、初めて氏の解説に触れて、いっぺんにファンになってしまった。

そういうフランコ氏ゆえ、人脈の広さもまた、恐るべし。今回も中部、関西、あるいは遠くイタリアから遠路駆けつけた歌手も何人かいらしたようだし、中には出産を間近に控えた大隈智佳子さんのような例も。入場料の仕組みはよく分からないが、たった3000円で提供するということは、出演者へのギャラもきっと大したことはないはず。ほんとにオペラ愛好家には嬉しい存在である。

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⬆︎この豪華なラインアップはまさに垂涎。途中たった10分の休憩を挟んで、9時40分まで、名曲と名演奏に酔いしれた2時間半だった。

みなさん、それぞれずば抜けた力量を示された中で、初めて聴いた山口安紀子さんの巧者ぶり!天性のものとも思える強く艶やかな声の質に支えられた、安定感抜群の歌唱には圧倒された。

今更素人の論評は不要だが、もう一つだけ。今回の出演者で最年少と紹介されたテノール城 宏憲さん、2009年末に国際新美術館ロビーで、オペラ研修所10~12期生のお披露目があったが、その中のお一人。あれから6年、見事な成長の跡が見られて、大変嬉しかった。

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今回、特に女性陣のコスチュームがまたいずれも素晴らしかったのだが、「アイーダ」第4幕の「すでに、神官たちが待っている」に登場した鳥木弥生さんの、目が醒めるような鮮やかなオレンジ系のドレスが格段に異彩を放っていた。フランコさんの紹介では、なんとテバルディ自身の衣装で、それを鳥木さんの師匠にあたるエレーナ・オブラスツォワがもらい受け、さらに今は鳥木さんの所有ということだ。レジェンドがまとっていたドレスを着て歌える幸せを感じられたことだろう。

終演後、近くの居酒屋で貸切の打ち上げがあり、誰でも参加できたので、先陣を切って到着。アッという間に満席状態。

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挨拶に立つフランコさん。手前は今日の出演はなかったが、打ち上げのみに参加された岡田尚之さん(手前)と今日は大活躍だった同じくテノール笛田博昭さん(奥)。

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一足先に帰るからと、ご挨拶に立った野田ヒロ子さん。この方のうまさにも定評がある。特に高音部をピアニッシモで歌うあたりはゾクゾクっと来る。

この後、会場内から歌いたいという人が現れたり、今後の公演の営業する人たちが次々に現れ、大盛況。我々も頃合いを見て、早めに(それでも11時)に引き上げたが、翌日、fbを見たら、フランコさん御一行様は、ゴールデン街で朝を迎えたようだ。超人ぶりを遺憾なく発揮。

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