ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「未来からくる演奏家を聴く会」で大沼 徹さんを聞く

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ヘンな名前の会だが、223回を数えるというから、大変な記録(?)を持つ音楽会。声楽家も時折出演されるようだが、器楽演奏が多いようだ。会場は南麻布セントレホールと、なかなか聞こえはいいのだが、上の写真でご覧の通り、ぎっしり詰めても80人ほどだろうか。天現寺橋近くで、事前にきちんと正確な場所を調べて行ったにもかかわらず、一度通り過ぎて、戻ってきてやっと入口が分かったほど。

小ぶりでも、大変雰囲気も音響も優れたホールで、正面に置いてあるピアノは作曲家平井康三郎愛用のものだそうだ。この演奏会、偶然FBで知ったのだが、それが5日前という、どうも急に決まったらしい。それでも満員!しかも9割が女性!!バリトン大沼 徹さんが女性に人気のあることは、前から知っていたが、これほどとは。それに伴奏の吉田貴至さんも普段から合唱指導などもされていることもあり、その関係もあるのだろう。

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前半の日本歌曲には初めて聞く曲が少なくなかった。それにしても、こうした歌をよく探してくるものと感心していたが、伴奏の吉田さんがネタばらし。吉田さんが、ちょっと気になり、そして大沼さんの声に合いそうだと分かると、勧めるらしい。大沼さんは勧められるままにレパートリーに取り入れていったようだ。吉田さんが言うには、大沼さんをダシにして伴奏の技を磨いていたと。(ホンマかいな)後半、4曲目トマの「ハムレット」のアリアも、そうしてものの一つ。

その後半だが、一転オペラのアリア集。それにしても、よくぞこれだけタフな演目を並べたものだ。さらにアンコールには「私は街の何でも屋」と、バリトン曲の中でも特に高音を求められる難曲。これを最後に持ってくる勇気には、感心しきりであった。

前述のように、平井康三郎愛用のピアノということもあり、彼の作品から「親船小舟」でしめくくり。これだけたっぷり聴かせてもらって@¥1,500ポッキリ。なんだか申し訳ないような気分に。

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