ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ベルファスト '71」

150811 原題:'71 [監]ヤン・ドマンジュ

f:id:grappatei:20150812122205p:plain

原題は単に年号だけと、えらくあっさりしている。この邦題は素晴らしいと思う。要するに1971年にベルファストで起きた事件を、実話にのっとって描いている。

f:id:grappatei:20150814104018p:plain

日本人にとって、極めて分かりにくいのは、中東アラブの世界もそうだが、ここ北アイルランドの首都で起きていることも同様に、宗教、あるいは民族の違いからくる憎悪。これが根っこにあるだけに、解決の糸口が容易に見つからず、いつ果てるともなく続いていく。尤も、只今現在、あの地域は落ち着いているが。

アイルランドの北北東1/5は依然大英帝国のもので、Northern Irelandはワールドカップなどでもお馴染み。もともとアイルランドカソリックが多い土地柄だが、ここだけは、大ブリテン島同様、英国国教会、つまりプロテスタント寄りが優勢。だが、他の3/4を占める、共和国と一緒になりたいカトリック系住民との対立は止むことがない。

f:id:grappatei:20150814104103p:plain

今日もまた英国軍が、ベルファスト市内で、最も危険とされている地区を巡回してると、そこへカトリック系住民が憎悪剥き出しで英国軍と対峙、まさに一触即発の事態。

そんな中、入隊して間もない新兵、ゲイリーは、うっかり銃を少年に奪われてしまう。取り返そうと少年を追ううちに、カトリック系住民に取り囲まれ、必死でその場はなんとか脱出できたが・・・。

ゲイリーが必死で危険地域から脱出を図るシーンでは、終始、ハンドカメラが迫真の映像を生み出す。彩度を抑えたカラーも当時の雰囲気を感じさせるには十分。地味ながら秀作。

#63