151110
ウィーンにある美術史美術館所蔵の風景画70点を展示しているユニークな展覧会。人類史上、初めて風景画と呼ばれる作品を世に出したのは1515年頃のヨアヒム・パティニールとされている。それまでは人物画だったということか。その人物が画面上で小さく描かれ、周囲の自然が大きく描かれて、主役の座を明け渡したということだから、美術史上、やはり画期的なことだったんだろう。
それぞれの作品は、例えばルーブル美術館などで鑑賞する場合、申し訳ないが、ピーター・ブリューゲルなどを除くと、ほとんど飛ばしてしまうような作品だけに、こういう視点で見ると、格別な味わいがあることに気づかされる。
章の構成は、
第1章 風景画の誕生
第1節 聖書及び神話を主題とした作品中に現れる風景
第2節 1年12ヶ月の月暦画中に現れる風景
第3節 牧歌を主題とした作品中に現れる風景
第2章 風景画の展開
第1節 自立的な風景画(*長期に亘るスペインのくびきから逃れ、カトリックからプロテスタントへ、そして彼岸的世界から彼らが現実に生きている世界へという、大きなうねりが)
第2節 都市景観としての風景画
今回展示作品中、最も興味深く鑑賞したのがレアンドロ・バッサーノの月暦画である。例のグラッパのふるさと、バッサーノ出身ということもあり、画中には、バッサーノの山々が背景に登場している。
空に浮かぶのは双子座ゆえ、これは8月の絵。
なんと生き生きと、当時の日常生活を描いていることだろう。
バッサーノの作品に、かなりのスペースを割いて展示している。