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ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「黄金のアデーレ」

映画

151130 原題:Woman in Gold 米英 109分 監督:サイモン・カーティス

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グスタフ・クリムトの傑作「アデーレ・ブロッホ=バウワーの肖像I」(1907)、通称、「黄金のアデーレ」は、長くウィーンのベルヴェデーレ美術館に収蔵され、ウィーンのモナリザとして同館の代表作であった。

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今頃(90年代の終わり)になって、この作品の本当の所有者として名乗りを上げたのが、ここに描かれている女性の姪、マリア・アルトマン(ヘレン・ミレン)。例のナチスがヨーロッパ中から略奪した美術品の一つで、描かれたモデル、アデーレ・ブロッホ=バウワーの遺言により、ウィーン政府に帰属するとなっていたが・・・、実はそうではなかった。

マリアが偶然見つけたアデーレの遺品の中に、それを解く鍵が。半信半疑ながら、同じくユダヤオーストリア人、無調音の作曲家、アルノルト・シェーンベルクを祖先に持つ新進の弁護士、ランディ・シェーンベルクライアン・レイノルズ)の助けを借りて、ついにオーストリア政府をして、その所蔵権を断念させた感動秘話。

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この弁護士、当初は持ち込まれたこの案件に余り興味を示さず、もっぱら新たな職を得た名門法律事務所での腕をあげることだけしか頭になかったのだが、次第にのめり込み始め、ついには出産を控えた妻の願いも聞き入れず、法律事務所を辞めてしまう。そして、国が相手では到底勝ち目がないと尻込みし始めるマリアを説き伏せようとする。

マリアは、あの恐怖の思い出しかないウィーンに戻る気はさらさらないと言うものの、単身で乗り込むランディの気迫に呑まれ、ついに裏切られた故国の土を踏むのだった。

二人を予期せぬ方向へと突き動かした共通の思いとは・・・。

原案は、マリア・アルトマンとランディ・シェーンベルクヘレン・ミレンの演技はさすがと唸らせるものが。エリザベス女王役も2度までも演じており、時にお茶目な側面も覗かせるが、その独特の威厳すら漂う気品には定評がある。イギリス人ゆえ、本作のためにオーストリア訛りを相当勉強したようだが、時にクィーンズ・イングリッシュが出てしまう(米語訛りは微塵も)ところがご愛嬌。

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弁護士役のライアン・レイノルズアイルランド系カナダ人。最近見た「デンジェラス・ラン」や「白い沈黙」などとは、雰囲気が一変、案外幅広い役柄を演じ分けられる器用な男優のようだ。

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法廷の場面、判事役で登場するのが、テレビドラマシリーズ「ダウントン・アビー」のエリザベス・マクガヴァンだが、ちょっと老けた。彼女の亭主は監督のサイモン・カーティス。なるほど!他に弁護士の妻役で、トム・クルーズの元妻、タレ目のケイティ・ホームズなど。

#90 画像は IMdb,及びALLCINEMA on lineから。