ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「仮面舞踏会」本番は別組で

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先日見たゲネプロとは別の組を本番で見ることができた。

何と言っても特筆すべきは、テノール藤田卓也氏だろう。噂には聞いていたが、本当に素晴らしい、日本の至宝と言えば、大げさかも知れないがそれぐらいの評価を得ても誰も不当とは思わないだろう。完成された正統派テノールで、音程にムラがないのはもちろんのこと、どの音程でも軽々と発声できるのは素晴らしい。こんな人が、東京であまり聞く機会がなかったのは、彼の略歴にも多少関係があるのかどうか。島根大学、大学院卒業後、主に海外で活躍されたようだ。

そう言えば、もう一人、素晴らしいアメーリアを歌った山口安紀子さんも、オペラ界では主流とは言えない神戸女学院大学三重大学院卒で、やはり欧州で研鑽を積まれたようだ。今後、こういうスタイルが増えてくる予感がする。大変いいことだと思う。そして、真の実力者には、広く活躍の舞台を提供すべきだろう。

そんなわけで、レナートの森口賢二さんは技巧派バリトンとしてシッカリ定評があるのだが、やや目立たない印象を受けてしまったのは、残念。でも、4幕の有名なアリア、"Eri tu che macchiavi・・・”は、一番の喝采とBravo!を浴びていた。

装置・衣装はイタリア人(Alessandro Ciammarughi)が担当したが、この舞台に限りなく絢爛豪華な雰囲気を与えることに成功したと言えるだろう。

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