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ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ザ・ブリザード」

映画

160301 原題:THE FINEST HOURS 米、118分 監督:クレイグ・ギレスピー

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咆哮する厳寒の海、真っ二つになった大型タンカー、うねりに翻弄されながら救助に向かう小型ボート。実話に基づいた世界最悪級の海難事故から、奇跡の脱出。

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どこまで実話に基づいているのか分からないが、素人でも突っ込みどころはそれなりに。超弩級の荒波の中、ちっぽけなボート(定員12人)で救助に向かわせようとすること自体、ほぼありえないし、そんな命令を出す沿岸警備隊の上官がいたとは信じがたい。

吹雪の中という設定なのに、口から白い息が出ていないのは、もちろん俳優たちの健康を考えて、それほど寒い海での撮影でないことがわかる。それでも、結構冷たかったらしく、長時間の撮影で疲弊した役者も少なくなかったらしい。

定員をはるかに上回る32名も乗せて、嵐が過ぎたとは言え、依然荒れた海を航行できるのかはなはだ疑わしい。しかも羅針盤を途中で失くし、方向さえ分からないで、出港した港に一直線で戻るって、どう考えてもおかしいだろう。

小型ボートを操るバーニー(クリス・パイン)の許婚者、ミリアム(ホリデー・グレンジャー)が、いてもたってもいられずに車で港に駆けつけると、他にも遭難者の家族たちも続々と港へ。ミリアムがヘッドライトを点けると、皆、それに習って一斉に暗い海に向かって点灯するが、もともと遭難している船へヘッドライトで合図するため、集結したのではなかったのか。なんかしらける脚本である。

冒頭の20分間も、間延びした展開で、眠気を誘われた。あのミリアムっていう女が、まったく手前勝手の振る舞いに終始して、見ていて腹立たしくなるのみ。ついでにホリデー・グレンジャーという女優も、パッとしないなぁ。

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⬆︎バーニーに死にに行けと言わんばかりの指示を出す上官(エリック・バナ

要するに見せ場は海の上のみ。ま、それだけでも見る価値はあるのだが、3D, IMAX(それだけで+900円!!)はまったく意味なし。3D, IMAX画面も最初だけで、見慣れてくれば効果は薄れるし、猛り狂う大海原を木の葉のように小型ボートが翻弄される場面や、軋みながら、船体が真っ二つに折れるシーンだけで効果を発揮する。2Dで見れば十分。

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船が難破したケープコッド周辺海域。本作の撮影もほぼ右端のChatham付近で行われた。

それにしても、この安易な邦題はいかがなものか。そもそもブリザードとは吹雪であり、海のイメージが希薄。

#15 画像はALLCINEMA on lineから