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ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「さざなみ」

映画

160411 原題:45 Years 英、95分、監督:アンドリュー・ヘイ

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イギリスの片田舎、結婚45年目を迎える老夫婦。愛犬一頭と仲睦まじく、平穏な日々。そんな二人の心を、ある日届けられた一通の手紙がかき乱す。さざなみにも似て、妻の心は凪ぎることはない。

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典型的なイギリス人の暮らし方が、墨絵にも似た淡い色調の中に活写されている手法に好感。物言わぬラストシーンが、いろいろ考えさせられ、余韻を残す。

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50年以上も昔のことなのに、”なんで今更”感が強い。それは妻ケイト(シャーロット・ランプリング)を知る前に、夫ジェフ(トム・コートネイ)が、当時愛し合っていたカーティア(イタリア系スイス人らしい)という女性の存在。手紙というのは、1962年、スイス山岳地帯を一緒に登山中、彼女だけがクレバスに滑落し、最近、氷付けの状態で見つかったと地元警察からの知らせと、遺体確認に来て欲しいという内容のもの。

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当時をただ懐かしむジェフ、もう老齢だし、スイスまで出かけるつもりは毛頭ないのに、さまざま詮索しようとするケイト。「彼女が事故死しなければ、結婚するつもりだったのかと迫るケイト。正直に「そうだな」と答えるしかないジェフ。

ケイトは、ついにジェフの留守中にロフト(屋根裏の物置)にまで入って、ジェフの当時の記録や写真類を探し回る。そして、カーティアの映っているスライドを見て動揺を隠せないケイト。

ジェフを今更責めるのはお門違いと理性では分かっていても、残滓のようなわだかまりをどうすることもできない。そうしている間にも、45周年記念パーティーの日が近づいてくる。果たして、大勢のパーティー出席者の前で、何事もなかったように振る舞えるのか・・・。

シャーロット・ランプリングは現在70歳の生粋のイギリス人。トム・コートネイは79歳で、やはりヨークシャー出身のイギリス人。二人は、一度「リスボンに誘われて」(2013)で共演している。

ランプリングは、イタリア語、フランス語が母国語同様に話せて、それぞれの国の著名作品に多数出演している。愚亭が見ただけでも、イタリア映画「地獄に堕ちた勇者ども」('69 ヴィスコンティ監督)、ロバート・ミッチャムと共演したアメリカ映画「さらば愛しき女よ」('75)、フランソワ・オゾン監督の「まぼろし」(2001) 、「スィミングプール」(2003)、最近では、カズオ・イシグロ原作のイギリス映画「私を離さないで」(2010)など、話題作に事欠かない。

コートネイは、1962年、「長距離ランナーの孤独」で衝撃的なデビューを果たす。その後、「ドコトル・ジヴァゴ」(1965), 「雨のパスポート」(1971)、最近では、「カルテット、人生のオペラハウス」(2012)、「モネ・ゲーム」(2012)、そして前出「リスボンに誘われて」などで、味わい深い演技を見せる。

ランプリングにどこか東洋的な雰囲気が漂うのは、主として、目の表情。眼窩が浅く、一重であることによる。失礼ながら、もともとが老け顔ゆえ、逆に年を取らないようで、毎度同じ顔を見ることになる。

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撮影は、ロンドンから250km北東にあるノーフォークとか。出演者は、主演二人以外はたいした役者は出ていないから、ずいぶん安上がりにできたことだろう。ついでだが、この邦題はうまくつけたものだ。

#27 画像はIMdb、およびALLCINEMA on lineから