ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「レヴェナント 蘇りし者」

160425

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 原題も:THE REVENANT (仏語由来、動詞 revenirから)製作・脚本・監督:アレハンドロ・イニャリトゥ(昨年の「バードマン」に続き、アカデミー監督賞、2年連続受賞の快挙。)

19世紀前半のアメリカ北西部、毛皮集めが目的の狩猟人たちと先住民たちとの激しい戦い、仲間同士の壮絶な確執が、過酷極まる大自然の下、研ぎ澄まされた映像で描かれた感動大作。

大型画面(たまたまIMAXで見たが)いっぱいに映し出される研ぎ澄まされた映像と、小川のせせらぎ、大河の咆哮、溶ける氷の一滴まで、大自然の営みを細大漏らさず取り込もうとする音響にまずは圧倒される。(撮影のエマニュエル・ルベツキは「ゼロ・グラヴィティ」、「バードマン」に続き、アカデミー撮影賞3年連続受賞)

実話に基づくストーリーは極めてシンプルだが、描き方がどのシーンもあまりの迫真力に、冒頭から身体が固まりっぱなしで、終映と同時にドッと疲れが出た感じ。あまり経験しないことだ。

最大の見せ場は、主人公のグラス(レオナルド・ディカプリオ)と、その3倍もあろうかというグリズリーとの格闘シーン。もちろんCGは入っているだろうが、最新の技術には完璧に騙される。画面上のことは、実際に起きているようにしか見えない。

襲われる寸前に発砲し、間違いなく当たっているのだが、巨大な熊だから、ひるまず攻撃を繰り返し、最後は、グラスのナイフでくたばることになるのだが、実は、これ、ラスト近く、自分を置き去りにした張本人、フィッツジェラルドトム・ハーディ)をついに雪原で捉え、一騎打ちとなる伏線に。一発撃ち込まれたフィッツジェラルド、最後はやはりナイフで決着をつけられている。

ディカプリオの主演男優賞、それに監督賞、撮影賞は当然として、作品賞を「スポットライト」に持って行かれたのは、イニャリトゥにしてみれば、いかにも残念だったろう。

撮影はカナダ、アメリカ、アルゼンチンで敢行された。暖冬で、雪不足から、最後の方のシーンは、ちょうど冬場を迎えるアルゼンチン南端のフエゴ島で行われたそうだ。それにしても、雪水に浸かり、凍える川を流されるなど、ディカプリオを始めキャスト陣の苦労がしのばれる。

吹雪の中、夜明かしを覚悟した主人公が、そばで落命している自分の馬の腹部からごっそり内臓を取り出し、裸で馬の体内に潜り込む場面、どこかで見たと思ったら、アイスランド映画「馬々と人間たち」(2012)での冬山での遭難シーンとまったく同じで、これはイニャリトゥがこの作品を見ていて取り入れたのかどうか、不明。

ともあれ、この作品は、映画ファンはもちろん、そうでない人にも必見!

#31 画像はALLCINEMA on lineから