ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

KGC合唱団演奏会

160604 例の国技館での5000人第九で、発会式と最後の練習でご指導いただく北川先生が率いる幾つかの合唱団混成チームによる演奏会。今回は指揮者として35周年という節目にあたるため、いつになく大々的な演奏会のようだ。下の写真のお姿は、近影ではない。かなり以前のものを使用されているようだ。

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ただ、失礼ながら、おめあては合唱よりもソリストたち。ほとんどの方々は以前から存じ上げていて、特に北川辰彦さんは、お名前から察しられるようにご子息だし、澤村翔子さんはその夫人。三宅理恵さんと村上公太さんは東京音大のご同期で、最近の活躍には目覚しいものがある。

と、演奏前までは思っていたのだが、聞いてびっくりだったのは、第四部の混声合唱組曲だ。富山の伝承メロディーを織り交ぜながらの大曲。和太鼓などを大胆に取り入れたオーケストレーションも素晴らしいのだが、合唱が「よくぞ、ここまで!」と思うほど、緻密に練習を重ねられた様子がよく伝わってくる感動の名唱だった。

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期待のソリストたちの競演ももちろん期待に十分応えてもらった。北川辰彦さんのテ・デウムは、昨年9月の墨田第九発会式でのアンコールでも聞かせてもらってるが、今日は、また一段と凄みを増しているようだった。十分本公演でのスカルピアは務まると思うのだが、その場合は、よほど悪役のメークを施さないとね。

ご令室の澤村翔子さん、初めてUna Voce Poca Faを聴かせてくれたが、これがまた妙なる声、la voce soaveで、すこぶる心地よく、途中のagilitàも見事だった。続いて、乗りに乗っているテノール村上公太さんの「妙なる調和」、カヴァラドッシの最初の聴かせどころで緊張する場面だが、持ち前のテクニックで歌いきって、Brav~~~o!! もう少し聞いていたかったな。

三宅理恵さん、歌い慣れた「侯爵様、・・・」、いつも超難度の歌唱を歌っている彼女にすれば、どうということもなく歌っちゃったという印象。どんな音域でも自在にコントロールする術を身につけているから、なんでも来い、という感じ。もっとオペラの本公演に出て欲しいのだが、どうもお嬢様的な容姿もあり、役が限られているとしたら、もったいない。

第二部のシューベルトミサ曲第二番、あまり聞く機会がなかったが、素晴らしい名曲である。自分も現在、フォーレクとロッシーニの小荘厳ミサ曲を現在練習中でもあり、こうした宗教曲には、大いに心惹かれる。

ついでながら、第四部にはソリスト全員も合唱に参加されていた。

こうした演奏会には珍しく、元NHKのヴェテランアナウンサー住吉美紀さんが起用されていた。北川辰彦さんもトークに加わっていたが、第三部のソリスト独唱がオケ伴ではなく、ピアノ伴奏になることについて聞かれると、父親である博夫氏を休ませたいと、泣かせる発言。普段、合唱の指導とは異なり、オケが加わるだけで、指揮者にはすごい重圧がかかるらしい。

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撤収作業中の楽屋にお邪魔しちゃった。ちょうどスーツケースも閉まったところ。

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