ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ミモザの島に消えた母」

160726 原題:Boomerang 仏 108分 脚本(共同)・監督:フランソワ・ファヴラ 

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記憶も定かでない幼い頃に、事故で溺死したと聞かされていた母は、どこでどんな風に亡くなったのか、ずーっと心に引っかかるものを感じながら過ごした30年。妻子とも離別し、仕事も失いながらも、真相究明に乗り出す。もう終わったことだと取り合わない父と祖母。二人とも何かを隠していると薄々感じる息子。頼りになるのは、気持ちを共有する妹のみ。初めこそ気乗り薄な彼女も、兄の一途な思いを受け止め、途中からサポートする側に。そして、鍵を握る下女の協力を得て、ついに明かされる驚愕の事実。母の遺品の中に見つけた金時計と裏に刻印されたある名前が、もつれた謎を解きほぐしていく。母の死の真相を隠し、幸せな家族を演出し続けた父と祖母に対して、家族を犠牲にしてでも真相を暴いた息子の情熱と勇気に圧倒される。素晴らしい展開である。さすが「サラの鍵」を書いたタチアナ・ド・ロネの原作だけのことはある。

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ご贔屓女優、メラニー・ロラン、本作では地味な役柄だけに、メイクも普通人に徹してかなりダサく見えていたのが、ちと残念。

ちなみに、ミモザの島というのは、フランス西部、ナント近く、大西洋に面する小さな島ノアールムーティエ島の別名。

#60 画像はIMdb、およびALLCINEMA on lineから