ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

THE CLAPPS' first concert@C✽LAPS(六本木)

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地元合唱団でご指導いただいているテノール猪村浩之先生が出演されるというので、合唱仲間9人で六本木へ。へぇ〜、こんなところにこんな店が、という感じのクラップスという名の、バーカウンター付きライブハウス。本格的な舞台のついた、そこそこ感じの良い空間である。

クラップスでクラップスが演奏するって、妙なことになったが、これはまったくの偶然と、リーダーの高野二郎さんが明かしてくれた。このユニットの名前はクラシックとポッポスの融合ということだそうで、POPSゆえ、Pを二つにしたとか。しかも、発音は拍手のクラップも指すから、実におしゃれなネーミングではないか。

お値段は飲み物が一杯だけ付いて、@¥6,000と手頃。ほどほどに飲み食いしても、トータルで@¥9,000で上がるから、コスパは悪くない。

昨夜披露された楽曲は、以下の通り(一部順不同)

・THE ROSE

・「アラジン」からホール・ニューワールド

・「レミゼラブル」からスターズ

・ピノッキオから「星に願いを」

・「サウンド・オブ・ミュージック」からCLIMB EVERY MOUNTAIN

・NELLA FANTASIA

・CARUSO

・TIME TO SAY GOOD-BYE

・ALL I ASK YOU (「オペラ座の怪人」からラウルとクリスティーンの二重唱)

マイ・ウェイ

ウルトラマンマグマ大使から主題歌など

・I LOVE YOU(尾崎豊の)

君は薔薇より美しい布施明の)

・水色の雨(八神純子の)

長崎は今日も雨だった

・慕情(LOVE IS A MANY SPLENDORED THING)

川の流れのように

(プログラム配布がなかったのと、必ずしも楽曲の紹介がいちいちあったわけではないので、誰がどの歌を、誰と誰の重唱だったか、一部記憶が曖昧なので、特に明示せず)

ご覧の通り、本職のオペラ楽曲はおろか、クラシックはすべて封印して、普段、滅多に聞けないものばかりという構成になった。それだけに、客席は驚きと笑いの連続であった。

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特にリーダーの高野二郎さんのアニソン(という分類でいいのかな)には場内大爆笑!ご本人、ウルトラマンなど、幼い頃の記憶が鮮烈で、今でも熱狂的に支持しているご様子。

この方のエンターテイナーとしての資質には実に素晴らしいものがある。ちなみに他でもTHE JADEなどのユニットを結成していて、歌手活動の広さはハンパでない。

バリトン押川浩士さん、バリトンでも相当高音まで行ける声質で、布施明の「君は薔薇より美しい」には正直、マイッタ。ノリがいいのもこの方の特質か。

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紅一点、我が大田区が誇る地元出身プリマ、日比野幸さん、かなり以前からフォローしているが、聞くたびにパワーアップしていて毎回驚かされる。

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そして、我が猪村浩之先生、歌唱のみならず、美貌(??)と服装センスの良さで黄色い(紅い)声援が、まあ飛び交うこと!女性からの人気はリーダーを凌ぐ勢い。現に、真紅の花束を贈られたのは、先生一人だけ!そしてNELLA FANTASIA, CARUSO, オペラ座の怪人など、いい歌を一杯歌われたが、最も会場が沸いたのは、尾崎 豊のI LOVE YOU!確かに、これはトリハダモノ。

そして、忘れてはいけないのが、ピアノ伴奏、金井 信さんの技だ。20年近く前からその天才的なピアノ演奏は聴いていたが、今宵もまたカナイ・ワールド全開だ。何というか独創的な節回しとでも言うのか、歌手をとことん舞い上がらせしまう。あんな伴奏をしてもらえる歌手たちもきっと幸せの極致だろう。歌手たちのトークの間に割り込むダジャレのタイミングもまた絶妙。

The Jade, The Velvets, Il Devu, The Dill・・・こうしたオペラ歌手によるユニットは枚挙にいとまがないほど生まれているが、大変素晴らしいことだと思う。やはりオペラという総合舞台芸術は、世界的にもファンが減少しているのは隠しようもない事実だし、会場を埋めているのがほとんどが高齢者であることを考えれば、危機感を持たないわけには行かないだろう。

したがって、少しでもオペラファンの底辺拡大を目指すための努力は、歌手側にも求められていると思う。国や県など行政の懐が潤沢なら、文化技術活動への助成も惜しまないだろうが、現実はむしろ逆方向に行っているような気がする。これは何も日本に限ったことではない。

このユニット、特徴はやはりテノール2、バリトン1、ソプラノ1という構成だろうか。この強みを生かして、ぜひとも活動を広げていって欲しい。最初の舞台が超満員で、上々の船出と言っていいだろう。ぜひまた聴きに行きたいものだ。

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