ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ある天文学者の恋文」

160903 原題:LA CORRISPONDENZA(通信)脚本・監督:ジュゼッペ・トルナトーレ、音楽:エンニオ・モリコーネ。 イタリア映画だが、全編英語。これは、「海の上のピアニスト」、「鑑定士と顔のない依頼人」と同様。

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あまり前評判の高くない作品だが、トルナトーレXモリコーネの組み合わせに惹かれて見に行った。期待していた分、やはり裏切られた思いが残る。ストーリーにメリハリがないし、先が読めてしまう展開。音楽と映像の美しさに救われた作品。

高齢の天文学者、エドワード・フィーラム教授(ジェレミー・アイアンズ)と、若いその弟子、エイミー(オルガ・キュリレンコ)との不倫。二人の間では至高の愛のつもりだろうが、家族など身内は置いてけぼりの、世間でよくある恋愛話。

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この二人が一緒にいるシーンは開巻数分のホテルの一室でのラブシーンのみ。他はパソコン、スマホ、電話、手紙によるやりとりのみというのも珍しい。そして、この天文学を学んでいるエイミーが、副職にしているのが、アクション映画のスタントという意外なもので、かなり激しいシーンが出てくる。スタント役を演じるのが、またスタントというからややこしい。あまりにも激しいスタントなので、エドは彼女のことをKamikazeと呼んでからかうが、日本人としては、かなり白ける。

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エドの予期せぬ突然の死、その後、次々に送られてく手紙や、動画DVD、贈り物が彼女の元に届き、エイミーには謎が深まるばかり。しかし、死は確定しており、受け入れるしかないのだ。そんな小賢しい細工を弄したところで、わずかばかりの慰めでしかない。未練がましい限りだけでなく、若い彼女のその後の行く手を遮ることでしかない。

#74 画像はALLCINEMA on lineから