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ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「手紙は憶えている」

映画

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 原題:REMEMBER(単純明快!)ドイツ・カナダ合作 95分 監督:アトム・エゴヤン(エジプト出身のアルメニア系カナダ人、「白い沈黙」2014)

ディメンシア(認知症)に冒された古い友人(?)を、緻密な計算の下、車椅子で動きが取れない自分に代わって逃げ延びている元ナチの将校を追い詰め、見事に自らの本懐を遂げる男の話。

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アウシュヴィッツで家族を皆殺しにされながらも自身は逃げ延びた⬆︎マックス(マーティン・ランドー 88歳 TVドラマ「スパイ大作戦」)は、最近自分のいる老人ホームに入居してきた似たような年齢のゼヴ(クリストファー・プラマー 87歳)という男に興味を持つ。

腕の刺青を見て、自分と同じアウシュヴィッツの生き残りかと思う反面、言動を注視しているとひょっとして・・・という疑いも消えない。(この辺は描かれないから想像するしかない)

そして、ゼヴが徐々に認知症がひどくなっているのを利用して、ある計画を思いつく。うまくいくかどうかは、五分五分。ゼヴに計画を打ち明け、賛同を得るが、認知症ゆえ、計画を細かく手紙にして彼に渡す。

かくして、ゼヴの、元ナチの極悪非道人ルーディ・コランダー探しが始まる。全部で4人のルーディ・コランダーが登場する。一人一人アポなしで直接会いに行き、会話の中から”真犯人”を割り出すという正攻法。

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一人目のコランダーを演じるのはドイツ人のブルーノ・ガンツ。2004年の「ヒトラー最期の12日間」でヒトラーを演じた姿が焼きついているから、この変貌ぶり(メイクもあるが)には、いささか驚く。

二人目は同じ(と、この時点では信じている)ユダヤ人。3人目は故人。だがその息子が登場する。こいつが親譲りのバリバリのネオナチときているから・・・。

そして、最後、4人目でついに標的を捉えたかに見えたが。

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劇中、2度ほどピアノを弾くシーンが。メンデルスゾーンと、ワグナーの「トリスタンとイゾルデ」。このワグナーを弾く場面で、4人目のコランダーが背後から登場。ユダヤ人が忌み嫌うワグナーゆえ、突然の訪問者の正体を想像するコランダーだったが。

ちなみに、いずれもプラマー自身が演奏している。そういえば、クリント・イーストウッドも、かなりの弾き手だったなあ。

ラストの展開は、予想をはるかに超えていた。脚本の冴えは認めざるを得ない。

#81 画像はIMdb、およびALLCINEMA on lineから