ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「胸騒ぎのシチリア」

161206 原題:THE BIGGER SPLASH(「さらに大きなしぶき」イタリア映画なのに英語タイトル!?)一方この邦題は秀逸!監督はルーカ・グアダニーノ。'68のフランス映画「太陽が知っている」(LA PISCINE)のリメイク版。アラン・ドロンロミー・シュナイダーの組み合わせ。グアダニーノは、このフランス映画を作ったジャック・ドレー監督に関心がなく、敢えてリメイクを意識しないように、あちこち変更している。(元の作品を見ていないので、そこは何とも)そう言えば、2003年、フランソワ・オゾン監督の「スウィミング・プール」(シャーロット・ランプリング、リュドゥヴィーヌ・サニエ主演のミステリー・サスペンス)にも似ているかも。

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パンテッレリーア島(ランペドゥーサ島同様、シチリアよりチュニジアに近い小島。今や連日のように難民が押し寄せる島でもある)が舞台。二組みの男女が、燦々と降り注ぐ陽光、きらめく星空の下で繰り広げる、不可解な行動の挙句の殺人事件、そしてなにごともなかったかのように静けさを取り戻して行く。それだけの話。盛り上がりに欠け、期待はずれ。

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元ロックスターで現在は声帯に障害が出て、ろくに声が出ないマリアンヌ(ティルダ・スゥイントン)が若い恋人ポール(マティアス・スーナールツ)と静かに休暇を楽しんでいると、元夫で、カリスマ的音楽プロデューサーのハリー(レイフ・ファインズ)が、娘(かどうか怪しい)ペン(ダコタ・ジョンソン)と、突如島へ現れ、4人で奇妙な時間が過ぎて行く。

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レイフ・ファインズ、まったく意外な面が見られる。個人的には「イングリッシュ・ペイシェント」と「シンドラーのリスト」における役柄が強烈過ぎて、本作では違和感たっぷり。頭は禿げあがり、体はぶよぶよ。だが、スーナールツとのプールでの競泳や、ダンスの切れを見ると、外見とは異なり頑健の様子。現在54歳。英国出身。

同じグアダニーノ監督の「ミラノ、愛に生きる」出演のイギリス人、ティルダさんも既に56歳。惜しげもなく肌をさらすが、あまり見たくない。愚亭にはミスキャストのような気がするが、監督のお気に入りだろう。ケイト・ブランシェットという話もあったようだが、その方がよかった。

売り出し中のベルギー人(珍しい!)のマティアス・スーナールツ(Shoenaertsと綴るのだが、父親がオラン人ゆえオランダ語の発音では、これが一番近いようだ。)は、見方によってはおいしい役どころ。じゃっかん面白みに欠けるが。元の作品では、モーリス・ロネが演じている。そう言えば、ちょっと物静かないい男風なところが似ていなくもない)49歳

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⬆️グアダニーノ監督が想を得たとされるデイビッド・ホックニーのA BIG SPLASH。(本作のタイトルの由来)そう言えば、こっちの作品も本作のイメージに近いか。⬇️

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#92 画像は一部ALLCINEMA on lineから