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ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「アイヒマンを追え!ナチスが最も畏れた男」

170107 ドイツ映画 105分 原題:DER STAAT GEGEN FRITZ BAUER (国家vs.フリッツ バウアー)監督・脚本:ラース・クラウメ 主演:ブルクハルト・クラウスナー(「ヒトラー暗殺、13分の誤算」2015、「パリよ、永遠に」2014)

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上は英語版のポスター。「英雄か裏切り者か」という文字が踊っている。下の方に英語のタイトル、ここでは「国民 対 フリッツ・バウアー」となっている。

1950年代のフランクフルト。検事長でいて、同性愛者(あの時代、西ドイツでは立派な犯罪)であるフリッツ・バウアーは、自身ユダヤ人で収容所経験者でもあることも手伝い、ユダヤ人絶滅の首謀者”狩り”に異常な執念をたぎらせている。

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冒頭、本人の動画も出てくるが、主演のブルクハルト・クラウスナーの演技は、まさに本人が乗り移ったかのような迫真力で、このキャスティングが本作の成功の鍵であることは間違いない。

アイヒマンがアルゼンチンに偽名で暮らしているという情報を、かなり確実な情報源から得ながらも、元ナチの党員が政府の要職にいることが壁になり、直接彼を確保できない。そこで、最後の手段とばかり、国家反逆罪に問われかねない捨て身の策に出る。それはイスラエルの秘密機関モサドに接触し、情報を与え、彼らの介入によってアイヒマンを西ドイツで裁こうとするものだった。

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しかし、彼の意図する通りにはならず、アイヒマンはイスラエルで裁かれれ死刑となる。アイヒマンを西ドイツ国内で裁けば、芋づる式にアイヒマン同様、悪名高きボルマンやらメンゲレ逮捕につながると意気込んだ目論見は潰えたことに。

見終わった感は、悪くない。本筋とはそれほど関係のないような、信頼する部下がゲイバーに通った挙句、当局に証拠写真を握られ、寂しくバウアーの元を去っていくあたりは、もう少し撮りようがあったように思える。

あの時代は、まだ元ナチス党員が堂々と政府や企業の幹部にいた事実に驚かされる。

#01 画像はIMdb及びALLCINEMA on lineから