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ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ヒトラーの忘れもの」

170124 原題:UNDER SANDETデンマーク語と思うが、「砂の下」という意味だろう。ただ、上映館では、なぜかLAND OF MINE(「地雷の土地」、同時に「私の土地」とも)とタイトル表示。エンドロールも英語表示だったから、当初から国際映画祭出品を考えてのことだろう。デンマーク・ドイツ合作 監督・脚本:マーチン・サントフリート

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こういう実話があったことすら、日本ではほとんど知られていないと思う。第2次大戦で、ナチス・ドイツに国土を蹂躙されたデンマーク、その海外沿いにナチスが埋設した地雷、実に150万個と、想像を絶する数字だ。

物語は、その一部、それでも2万個ほどを、憎っくきナチスの捕虜、それも本作に登場するのは、年端も行かぬ少年(多分14,5歳から18歳ぐらいまで)14名を使って、決められた期間内に浜から除去させる一部始終を描く。

報復措置とは言え、あまりに人道から外れたことをデンマークはやったものだ。(ところがどうも実際は、この作戦は英国軍が担当し、陣頭指揮はナチのしかるべき士官が当たったというから、その辺は少しフィクションが入っているかも知れない。しかし、デンマークが国として、これを容認していたことは間違いない。)

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⬆︎砂浜で鉄の棒を差し込みながら、慎重に地雷を探していく。来る日も来る日も。

なぜか英語で、Parachute Regimentという腕章をつけたデンマーク軍の軍曹が主人公。今こそ報復の時とばかり、相手が少年だろうと容赦しない。殴る蹴るは当たり前、時には何日も食事すら与えないと非道の限りを尽くしながら、ひたすら地雷除去作業を進めさせる。

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⬆︎軍曹の上官、こいつが、ゲシュタポも凌ぐかと思われるほど極悪非道の考えの持ち主。少年兵を集め、まずは地雷の構造と信管除去の方法を解説。

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今日もまた誰かが犠牲に。

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最初の犠牲者、両腕を肩からもがれ、病院で死亡。その後も、事故は続発、除去終了後は帰国させてやるからという甘言(軍曹はそのつもりだったが、上官にはその意向はなく、結果的に軍曹を騙していたことが、後に判明)を唯一の希望に頑張り、やっと除去し尽くしたと思ったら・・・信管を外した地雷を集め、トラックに乗せる作業中、つい手元が狂い、大爆発、一気に8人の仲間を失う。

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⬆︎時には、こうして軍曹と少年たちの間に心を通わすような瞬間も訪れるのだが・・・。

最後の暗転は、軍曹にこれから起こるだろう運命を暗示しているのだろうか。

とにかく、いつ爆発するか、ハラハラドキドキしながら見ているから、眠気を催す暇は全くなし。見始めてから、本作を選んだのを一瞬後悔するほど、ビクビクしながら見ていた。

どんなに人を憎んでも、それがずーっと続くこともないし、状況により消え去ることがあることをこの作品は教えてくれる。戦争秘話であり戦争悲話でもある。

最後のテロップで、2000人のドイツ人捕虜が150万個の地雷除去に従事させられ、半数以上が死亡、ないし手足を失ったと流れる。声もない。

#4 画像はIMdb及びALLCINEMA on lineから