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ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「家族の肖像」

映画

170220 原題:GRUPPO DI FAMIGLIA IN UN INTERNO 伊仏合作 121分 名匠ルキーノヴィスコンティの最晩年作。ヴィスコンティのきらびやかな作品群の中では、やや目立たない小品的な作品。1974年の作品だが、日本公開は1978年。なぜかリアルタイムでは見ていない。今回ニュープリントで岩波ホールで公開されたのを機に見に行った。

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ローマの高級住宅に住む、今は引退した教授(バート・ランカスター)のところに、ある家族が部屋を貸して欲しいと、半ば強引に移ってくる。これがまた一風変わった家族で、一見して気位の高そうな伯爵夫人というビアンカシルヴァーナ・マンガノ)、その愛人のコンラッドヘルムート・バーガー)、ビアンカの娘と、その婚約者という組み合わせ。

名画に囲まれた豪壮な書斎で、一人静かに読書したりして、余生を過ごすつもりだったので、貸すつもりまったくないと、にべもなく断るのだが、教授の目には、このトンデモ家族が徐々に新鮮に見え始めくるというから、世の中、分からない。

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コンラッドという青年もなにやらワケありで、最初のうちは教授をまったく受け付けないのだが、ある事件をきっかけに'68年の学生の騒乱にも関与した社会活動家らしいことを漏らしたりしたことで、教授との距離が縮まる。

いうなれば、古色蒼然とした因習の塊の世界に、突如モダンな考え方の群れが闖入し、やがてこの本来対立すべき対象が融合していく世界を、ヴィスコンティが、時に官能的なカットを挿入しながら、妖しく描き出したというわけだ。

ランカスターとバーガー(オーストリア人)以外はイタリア人というのに、全編英語だったのが気に入らない。これはイタリア語版で見ないとだめだろう。女中までペラペラ英語を喋られては、興ざめも甚だしい。

それにしても、この時代のヘルムート・バーガー(1944生)の美貌ぶりはどうだろう。アラン・ドロン(1935生)と、当時、美男ぶりを二分していたと思う。ただ、多作だったドロンに比べ、ドロン同様に可愛ってくれたヴィスコンティの作品のみに出演が限られていたバーガーは、日本でもやがて忘れ去れる運命だった。二人ともなお健在だが、今の姿は見たくないね。

シルヴァーナ・マンガノ(マンガーノは誤り。マにアクセント)も、「苦い米」(1948)がデビュー作で、製作者のディーノ・デ・ラウレンティスと結婚したが、ヴィスコンティパゾリーニに可愛がられたおかげで、結構いい作品に出演している。いい監督との出会いがどれほど俳優にとって大事なことか。黒沢に見出された三船敏郎もその好例だろう。

#9 画像はALLCINEMA on lineから。この時代の作品となると、ほとんどいい写真が残されていないのが残念!