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ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「わすれな草」

170510 原題:VERGISS MEIN NICHT 独 88分 脚本・監督:ダーヴィット・ジーヴェキンク 

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監督自身の母親、グレーテルが認知症を発症し、息子の目から見た母の最期の姿を、過去の記録も織り交ぜながら、淡々と、しかし克明に記録したドキュメンタリー。

この種のテーマを取り上げた作品は国内外で、これまでも数多く作られているが、監督自身の母親を対象にドキュメンタリーとして撮ったところが目新しいし、素晴らしい。

若い頃は、左派系の政治活動の闘士として活躍していて、その頃に後に夫となるマルテを知り合ったのだが、互いに浮気を認め合うような、当時としてはかなり突飛な関係だったと告げる場面には、ちょっと驚かされる。そして、認知症を発症した今、すべてのしがらみから解放され、家族の絆は新たな展開を見せる。

マルテがずーっと介護しているが、やはり老々介護には限界があり、息子が介護を買って出ることに。時に相手が誰かわからず、トンチンカンな会話もたびたび登場するが、周囲が優しくそれに付き合い、グレーテルも常に微笑みを絶やすことなく、およそ1年後に亡くなるまでを描く。

昔の白黒写真が何度か登場するが、グレーテルの若い頃は、カテリーナ・ヴァレンテ似の、なかなか美形の肉体派。それだけに現在の姿を見るのが辛い気もする。

ところで、わすれな草と言えば、フェルッチョ・タリヴィーニの歌う主題歌でも有名なった独伊合作映画「忘れな草」(1959)を思い出す。ちなみに原語タイトルはまったく同じVERGISS MEIN NICHTだが(イタリア語タイトルはVENTO DI PRIMAVERA)、邦題には敢えて漢字一文字を加えて区別している。

#25 画像は作品のオフィシャル・サイトから。動画はYouTubeから。