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ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」

170516 原題:MANCHESTER BY THE SEA 米 137分 脚本・監督:ケネス・ロナーガン(もともと脚本家で、監督としては、これが3作目、本作では、通行人として出演もしている)製作にはマット・デイモン名を連ねている。

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それほど期待しないで見に行ったが、素晴らしい作品だった。本作主演のケイシー・アフレックベン・アフレックの弟)はアカデミー主演男優賞に輝いている。

ボストンの北にある小さな港町が舞台。この町出身で、心に深い傷を負ったリー(ケイシー・アフレック)、無口で無愛想、人付き合いも悪く、呑んだくれては喧嘩騒ぎという荒んだ生活。

重い十字架を背負って、孤独に生きる姿を、ケイシー・アフレックが好演。特に翳りのある表情、暗い目つき、きわめつけは背中の演技!どちらかというと目立つ存在のベン・アフレックとは対照的だ。

自分の不注意から出火、二人の幼い娘を死なせてしまうという辛い過去と決別して、一人ボストンで便利屋で生きていこうとするが、兄の突然の死で、遺児(リーにとっては甥)、16歳のパトリックの遺産後見人となる。降って湧いたよう話に戸惑いながら、自分一人でも持て余し気味なのに、思春期の多感な少年を預かることになってしまったが、ここは避けて通れない。

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別れた妻、ランディーと何年かぶりに街角でばったり。噛み合わない会話、切ない思い。ここは名場面だ。ミシェル・ウィリアムズは本作での出演時間はわずかに12分ということらしいが、大きな見せ場で、存在感たっぷり。

一言きちんと詫びたくて、リーをランチに誘うが、「いや、いいよ」と断られてしまう。それでも、あの悲劇の後、自分が徹底的に責め続けてリーを孤独に追いやったことを涙ながらに必死に詫びるランディ、ほとんど無表情にそれを受けるリー。

たった32日間で撮り終えた作品らしいが、心に残る名作である。

#26 画像はIMDb、およびALLCINEMA on lineから。