ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「美女と野獣」

170523 原題:BEAUTY AND THE BEAST (原作の仏語では、LA BELLE ET LA BÊTEと両方に定冠詞が付いているのだが、英語はなぜかBEAUTYには付かない)米 130分 監督:ビル・コンドン

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原作は読んでいない。1946年のジャン・コクトージャン・マレーを主人公にして撮った作品は見ている。1991年のアニメ版は見ていないし、例のセリーヌ・ディオンが歌う主題歌を知っている程度で、さらには、先に見た姉の評価もあまり高くなかったので、見る予定はなかったのだが・・・。

正直、期待をはるかに上回って、自分の中では十分佳作入選だ。91年のアニメ版より45分も長いのは、新曲を加えていることと、ベルのバックグラウンドを丁寧に描いているかららしい。それと、冒頭から本格ミュージカルの味わいで、かなり勘違いをしていたようだ。ついでに、ベルが丘の上へ上がりながら、歌う場面は、サウンド・オブ・ミュージックの冒頭シーン(主人公のマリアがThe hills are alive・・・と歌い始める場面)へのオマージュだろう。

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序盤が長いので、多少ダレるところもなくはないが、ベルが城に入り、いよいよ野獣と相見える場面へと、徐々に盛り上げて行く手法は評価されていいだろう。そして、感動あふれる最高潮、ダンスシーン!

野獣を演じているのは、人気海外テレビドラマ「ダウントン・アビー」のマシュー役、ダン・スティーヴンス。特殊な高い履物(なにせ野獣の足だもの)をはき、重量あるコスチュームもあり、エマ・ワトソンに比べるとふた回りも大きく、ここの撮影は相当苦労したらしい。エマ・ワトソンは、野獣が履いている、先端が金属の特殊な靴に踏まれないように気をつけるあまり、つい足元に目が行ってしまったとか。

先日、地上波初放映された2014年のフランス製の「美女と野獣」を見たが、そもそもミュージカルではないし、他もかなり手法が異なる。原作がフランスなので、ハリウッドへの対抗心からか、細部がかなり違っていて、興味深かった。

野獣になるヴァンサン・カッセルが先に王子の姿で登場し、最後に野獣から再び本来の姿に戻るところが、本作とは一番の違いかな。地味目のレア・セドゥーがベルを演じていた。

本作のベルを演じたエマ・ワトソン、上々の出来だ。歌も結構いける。理知的なきりりと引き締まった顔がいい。この女優、言わずと知れた「ハリー・ポター」シリーズで、のし上がってきた女優で、これまで一度も見たことがなかった。本作の出演で、大女優への道をまた一つ上がったことは間違いない。

それと音楽である。メインテーマはアニメ版と同じだが、他に3曲が新たに加わっている。中でも、エンドロールの最後に出てくるJosh Grobanの歌うEvermoreが素晴らしい。これを聞かずに席を立つ客がいるのが信じられない。

#28 画像はIMDbから、動画はYouTubeよりOfficial Viedeo。