ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「パトリオット・デイ」

170616 原題:PATRIOTS DAY 2016 米 133分 原案・脚本・監督:ピーター・バーグ 製作には、主演のマーク・ウォルバーグの名も。

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4年前のボストンマラソン、ゴール付近での爆破事件を扱った実録物。当時の映像もかなり含まれているが、爆破シーンの再現場面はド迫力!

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ボストン警察巡査部長、トミー(マーク・ウォルバーグ)が主役。事件発生から二人もの犯人確保まで100時間を超えるが、彼らの不眠不休の活躍ぶりに焦点が当てられている。

前日、別の事件で犯人のアジトらしき部屋を急襲、ドアを蹴破ったのはいいが、膝を痛めてしまう。簡単な手当だけで、翌日開催されるボストン・マラソンの出発・ゴール付近の警備につくが、膝痛で、歩行もままならない。そこで、妻のキャロルに電話して大型サポーターを持ってきてくれと頼む。

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届けに現場に駆けつけた妻、キャロル(ミシェル・モナハン)は、しばらくそのままゴール付近で観戦することに。間もなくとんでもない事件が起こることも知らず。事件発生までをほぼ実際の経過と同じ時間軸で、しかも犯人側、警察側の動きを並行して辿っていく手法は、最大限の緊張感を生む。

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事件発生後の現地警察とFBIの素早い動きが印象的だ。FBIのデローリエ特別捜査官(ケビン・ベーコン)も、きびきびと捜査の陣頭指揮にあたる。地元警察、FBI、州知事など、手際よく分担を決め、だだっ広いスペースを確保して捜査本部を立ち上げるが、周到かつ迅速な動きには目を見張る。三者三様の必死の覚悟のほどが窺がわれて、興味が尽きない。日本で、もし同種の事件発生が発生したら、どうだろうか。

爆破犯人が事件発生後短時間(実際には4日間)で解決を見たことは、当時の報道で日本でも知られていたが、犯人逮捕に至る過程で、これほど行き詰まるドラマが展開されていたことは、知られていないと思う。

現場付近の監視カメラを元に、犯人像割り出しに成功するも、どの時点で世間に公表するかについては、地元警察、FBIで大きく意見が分かれ、結局、テレビ局にリークされ報道されるという情報が。先手を打つような形で本部が犯人の映像を公開する。果たせるかな、それを見た犯人(中東系の兄弟)が動きだす。彼らは、爆薬のプロで、この後、ニューヨークでも爆破騒ぎを起こす計画があった。

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住宅街に逃げ込んだ犯人側との激しい銃撃戦に”参戦”しようと防弾チョッキを着用して向かうボストン郊外、ウォータータウン警察の巡査部長ジェフ(J.K. シモンズ)。

犯人のうち、兄は銃撃戦で死亡、弟は闇に乗じて住宅街に逃げ込み、警察を手こずらせるが、結局捕縛される。こうして事件の幕が降りる。

エンディングでは、爆破による犠牲者、警察の殉職者、犯人逮捕に功績のあった人物の実際の映像が紹介される。そして、ボストン市民が愛してやまないレッドソックスの開幕(?)試合のセレモニーで、伝説の強打者オーティーズが感動的なスピーチを行う場面が実写で紹介される。レッドソックスはその年、ワールドシリーズで優勝するという、ボストン子には願ってもない弔い合戦の大勝利となった。

#36 画像はIMDb、およびALLCINEMA on lineから