ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「TAP THE LAST SHOW」

170623 133分 監督:水谷豊

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これまで興味も関心もまったくなかっった俳優だが、こういう作品を作れるとなれば、少し見方を変えようかな。いや、なかなか大した作品になっていて、感心した。

嘗て光り輝いていたタップ界のレジェンド、事故で踊れなくなり、以来酒浸りの生活と言えば、ごくありふれた話だ。そういう人物が、昔の仲間にほだされて、最後に一花咲かせるというのも、欧米の作品でも思い当たる作品が少なくない。

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⬆︎「な、最後に、一緒にええ夢見よ!」と声をかけるのはダンススタジオ「ザ・トップス」の経営者、毛利(岸部一徳

いつのまにか毛利のペースに乗せられ、オーディションをすることになる渡(水谷豊

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⬆︎最後に残れるのは、JUNかMAKOTOか、息詰まるような”戦い”

このオーディションの場面は、リチャード・アッテンボロ監督の「コーラスライン」(1985)をかなり意識して作られているような気がしてならない。特に、番号を呼ばれて前に出され、有頂天になっているダンサーに対し、「ようし、お前らはこれで帰っていいぞ」と言いわたす場面は、ほぼパクリだろう。

一旦、出場者も開催日も決まるが、その後、様々な事件が続き、中止に。ところが紆余曲折の末、決行することに急転直下決定。これが延々25分も続く圧巻のダンスシーンで、これはちょっとした見ものだ。

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結構楽しめる作品に仕上がっていると思ったが、観客はまばらだった。

水谷豊、役者としても、渋い味がじわりと内面からにじみ出るような、実にいい感じだ。

#40 画像はALLCINEMA on lineから