170711
久しぶりに水墨画を見る機会があった。自分の父方の祖父が水墨画の絵師(聾仙と号した)であったので、我が家には彼の作品が常時何点かかけられていた。日常的にそうした作品に接していると、あまり有り難みも感ずることなく、過ごしていたが、出身地の岐阜大垣で彼の回顧展が割に大掛かりで開催されたことがあり、相当傑出した水墨画家であることを遅まきながら認識した次第。
爾来、水墨画には特別な想いを込めて鑑賞するようになり、今回の展覧会も楽しみに出かけた。上のチラシにもあるように、「長谷川等伯と雪舟」と副題がついていて、彼らの作品が今回の展覧会の目玉。
構成:
第1章 雪舟を創りあげたもの ー「破墨山水図」への道
第2章 等伯誕生 ー水墨表現の展開
第3章 室町水墨の広がり
あまりこれまで鑑賞したことのないような作品ばかりだが、全てこの美術館所蔵のものというから、大したものだ。
中国の色濃い影響を受けながら、等伯の時代になって、日本独自の水墨画が開花して行く様子をわかりやすく展示してくれているのはありがたいと思った。
さらに室町時代にヴァリエーションが多彩になり、近世に受け継がれ、中国から”かすれ”(墨線がかすれてカサカサした枯れた感じを表現)などの技術を駆使した、文人画と称する、職業絵師以外のいわゆるインテリたちの嗜みの一つとして描かれた水墨画などの出現もこの時代の特徴か。
そして、狩野派の登場を見るという具合で、大雑把ながら、こうした重要な流れがこの展覧会を通じて理解されるのではないか。小規模だが、充実した展覧会。
画像は出光美術館のホームページからお借りした。