ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

Madama Butterfly @かつしかシンフォニーヒルズ

170812 このところ、毎年この時期にこのホールで真夏のオペラが開催されており、昨年はIL TROVATORE。いずれも演奏会形式で、アマオケ、アマ合唱団主催ということで、チケット代は、なんと3,000円!ありがたや、ありがたや。そりゃ装置や演出が入らないとは言え、ソリスト陣はなんとも豪華、それに指揮が今や人気急上昇中の柴田真郁とくれば、酷暑だろうが、遠方だろうが委細かまわず、出かけたくなる。(尤も、この日は酷暑でもなかったし、遠方とは言え、大田区の我が家からは都営線と京成、乗り換えなしでスムーズな移動)

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演奏会形式でオペラは何度も聞いているが、ソリスト陣の力量で特に違和感は感じないものだ。自分の楽譜を持って、ソリストが入れ替わり入退場を繰り返すことになる。男性陣は黒一色だったが、女性陣は、蝶々さんはじめ、スズキもケイトのそれなりに美しいコスチュームで登場。とりわけ蝶々さんは、ゴールドのドレスの上に白の和服風のものを羽織って登場、夜の帳が降り始める頃に、スズキに羽織だけ持って行かせる”演出”。2幕では、シルヴァーのドレスに着替えてTu, Tu, Tu・・・などを熱唱した。

タイトルロールの高橋絵理、もう10年近くもフォローしているが、毎回、進化している演唱で楽しませてもらっている。演技はほとんどなく、楽譜台の前に突っ立って歌うのだが、後で聞いた話では、これが想像以上にハードらしい。重いコスチュームつけて演技しながらの方が大変だろうと考えがちだが、動きがなく突っ立った状態のままで全幕、ほぼ出ずっぱり状態の蝶々さんは、やはり若い高橋でも相当こたえたと告白していた。

ピンカートンのテラッチこと寺田宗永、この人もどんどん上手くなっている。1幕のデュエットもよかったし、最後のAddio, fiorito asilも心に響く歌唱だった。

シャープレスの渡辺弘樹、昨年のルーナ伯爵は喉の調子がイマイチだったが、今回は絶好調、独特の包み込むような中低音の響きがたまらない。

この役は何度もこなしているスズキの小林由佳、演技なしはちょっともったいないと思ってしまう。歌唱も舞台姿も、今やメッゾではトップクラスの存在。これだけ考えても、実に贅沢な布陣である。蝶々さんと歌う花の二重唱は聞き応え、たっぷり!

出番は限られていたが、ケイトの藤長静佳、以前、カルメンを聞いたことがあるが、出番が少ない割に存在感をそれなりにきっちり示せたのは、大したものだ。タッパもあり、選んだブルーのドレス効果も存在を際立たせたか。

最後の場面は、このスタイルの上演で、どのようになるのかと思っていたら、蝶々さん、歌い終わるとスーッと舞台袖に引っ込んで、オケの演奏だけになる。確かに、この方法しかないと納得。

エルデのオケも本当によく鳴っていたし、合唱団も素晴らしい演奏を披露してくれて、大喝采。ソリスト陣からも、何度も喝采をもらっていた。お疲れ様でした!来年は何をやってくれるのか、今から楽しみである。

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終演後はソリスト陣がロビーに出てきてくれるから、ファンとの交流の輪があちこちで広がる。こうして全員が揃ってくれることは、まず滅多にない。もちろん最後まで残っていたファンたちにとっては、垂涎の一瞬で、たちまちカメラ(スマホ)の放列。

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2幕目のコスチュームで写真に収まった高橋絵理たまたまこの日は??歳のお誕生日。重ね重ねおめでとうございました!

#44  文中敬称略