ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」

170926 原題:A STREET CAT NAMED BOB 英 107分 監督:ロジャー・スポティスウッド(72歳、カナダ、ほとんどの作品が日本未公開かTV用、日本公開作品では「007 トモロー・ネヴァー・ダイ1997ぐらいが代表作か)

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麻薬常習者でホームレスの青年が、その後、更生プログラムに参加、もがきながらも下手な路上弾き語りで食い繋ぎ、ぎりぎりの生活の中、一匹の茶トラ猫が登場。可哀想に思い、餌を与えたところ、彼から離れなくなり、いつしか逆に猫に癒され、救われるという心温まるドラマ。

ほぼ実話をベースに脚本が書かれたそうで、主人公のジェームス・ボーエン自身が、終幕近くに登場する。それはエンドロール中、実写で彼が出てきて、「ああ、さっきいた男だ!」と気付いた。

彼を演じたルーク・トレッダウェイは、もともとギターが弾けた上、歌も少し歌えたことでこの役を射止めたそうで、全部で10曲近く歌っている。特に下手でも上手くもない。

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彼をなんとか立ち直らせようとする区の更生担当者は、テレビドラマ「ダウントンアビー」で日本でも知られるようになったジョアン・フロガット

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彼を見捨てた父親に、立ち直った報告に来るジェームス。見捨てられたと思っていたら、意外な思いを打ち明けられ、逆に父親に詫びられて、複雑な心境のジェームス。ボブが両肩にしっかり体を預けている姿勢が可愛らしい。

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どこの地区が割り出せなかったが、凄いね、この落書きは!

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近所に住んでいて、いつしか気を許し合うようになったベティー。"I am vegan"と彼に告げるシーンで、「私、ビーガンなの」と字幕に出るが、これはちょっと不親切。veganはvegetarianから派生した一種の菜食主義者のことだから、せめてベジタリアンと出すべきだろう。文字数が限られていても、これではなんのことだか分からない。(厳密にはビーガンはヴェジタリアンとはちょっと異なるらしいが)

蛇足ながら、この二人、撮影の数年前から付き合っていたとか。

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これがジェームス・ボーエンご本人。著作がベストセラーになり、家を建てたというから凄い。その後、麻薬中毒者に対する更生支援をしているらしい。

ということで、この作品の最大の功労者はボブという名の猫だろう。撮影のために何匹か猫タレを用意していたようだが、結局はボブひとりで全部演じきったというから、素晴らしい!犬が演技できるが、猫はできないという通説だが、猫は猫なりに立派に演技していたというわけだ。

このタイトル、お気づきのように A STREET CAR NAMED DESIRE(欲望という名の電車)をもじったもの。CATはCARと一文字違いで、なかなかうまいタイトルだ。ただ、邦題の方は、猫で止めておけばいいのに、余計な言葉をくっつけちゃって、センスが悪い。

#65 画像はIMDbから。