ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「バリー・シール アメリカをはめた男」

171024 原題:AMERICAN MADE(アメリカ製?)米 115分 監督:ダグ・ライマン(一連のボーン・シリーズの監督、製作総指揮を担当)

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例によってスタントを使わず自ら危険なシーンの撮影に臨んだトム・クルーズが話題になり散々予告編を見せられて見る気になったのだが・・・完全に期待を裏切られた。大した見せ場もなく、ストーリー展開も凡庸。実話に基づく話らしいが、へぇ〜そんなことがあったんだ、という程度。キーワードは、腕っこきパイロット、アクロバット飛行、メデジン・カルテル、CIA, FBI、サンディニスタ、イラン・コントラ事件、コロンビア、ニカラグゥア、パナマ、ノリエガ将軍、ドナルド・レーガン、etc.

TWAのパイロット、バリー・シール(トム・クルーズ)が、その腕を買われてCIAで一働きするうちに、メデジン・カルテル側に気に入られて、今度はそっち側で麻薬密売に手を貸し、巨額の富を築く。一度は米政府側にとっつかるものの、他の用途で使えると見られて釈放されるも、最後は知りすぎた男として密売組織に消されるというお話。

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TWAにいりゃいいのに、ある日、CIAの男(ドーナル・グリーソン)に持ちかけられた話に乗ってしまうバリー。因みに、トムは、グリーソンの親父、ブレンダン・グリーソンとはなんどか共演している。

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家中、ドル札だらけになり、金の価値が分からなくなる一家。寝っ転がって何を読んでるかと思ったら、アル・カポーネ自伝だ!こんなところで、足を洗っておけばよかったのだが・・・

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あら懐かしや、ノリエガ将軍まで登場する。この辺りまでどんどん悪事にのめり込むバリー。

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麻薬密売組織のために、何度も低空飛行で麻薬を空中から落とすことを続けていたが、ついにアメリカ政府派遣の小型機に追われ、民家のスペースに強行着陸、この撮影は自分自身で操縦していたというから、凄い!

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タレコミがあって、自宅にCIA, FBI, ATF, DEAなどなど、それに地元警察までが押しかけ、あっさりと御用!自宅のあるアーカンソー州メナの警察にしょっぴかれるものの、時の州知事ビル・クリントンの指示で釈放となる。何か使い道があるかと思ったのだが、結局、裏切った相手、密売組織から追われる身となり、政府側は知らん顔で、ま、体良く使い捨てられたわけだ。華々しくも太く、短く、哀れな末路。

この作品、メデジン・カルテルや、イラン・コントラ事件など、時のレーガン政府をゆるがすようなスキャンダルも絡めていて、その辺は実写フィルムなども交えてうまく構成していると思うが、なぜか最近の映画にしては、画面が粗いのが気になった。時代感覚を見せるために敢えてそうしたのかも知れぬが、もう少し迫力ある映像が見たかった。

邦題には「アメリカをはめた男」とあるが、はめたつもりがはめられたと逆説的に使われたのか。原題にはそのほうな意図は込められていないと思うが。

BGMに、普段よく聞いているHOOKED ON CLASSICが使われていた。

#72 画像はIMDbおよびALLCINEMA on lineから。