ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ブレードランナー2049」

171030 原題も:BLADE RUNNER 2049 米 2017 163分(長い!)製作総指揮:リドリー・スコット、監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ(カナダ人)彼が監督した「灼熱の魂」(2010)以降、日本公開作品はすべて見ている。いずれもほぼはずれはない。

そもそも35年前の作品も見ていないし、特別の興味もないのだが、この二人の共演を見たいと思って、無謀にも・・・。

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タイトル通り、前作の設定2019から30年後の設定で、舞台はロサンジェルス。前作を見ていない以上、かなり分かりづらい筋書きはともかくとして、シュール、かつスタイリッシュな映像美はたっぷり堪能できた。全体に荒廃した都市を描いているので、彩度をかなり落とした落ち着いたトーンで、リアリティー感も十分。

猥雑な繁華街の様子は日本語あり、ハングルあり、アジアを意識した設定が目につく。日本語は他にも話し言葉として普通に登場するから、面白い。アンドロイド、じゃなかったレプリカントは多言語対応能力を備えているようだ。

主役のライアン・ゴズリング扮する警察官Kも、また30年の時の経過を経て登場するハリソン・フォード演じるリック・デッカードほかも、レプリカントで、生身の人間はごく少数しか登場しないという設定。

旧約聖書からの隠喩(ラケル『レイチェル』にまつわる話など)やトロイに関連するホメロスの話などもメタファーとして出て来て、ある程度、こうした知識があれば、理解も深くなるだろうが、まあ一般の日本人には無理な話だ。

始まったから1時間40分もして、やっとハリソン・フォードが初めて登場する。隠れていたのはラスヴェガスのホテルということになっていて、ライアン・ゴズリングとの格闘シーンはカジノの中。ここでホログラムでエルビス・プレスリーマリリン・モンローが登場させ、古い世代の観客には嬉しい場面だ。エルヴィスは「愛さずにはいられない」などを熱唱する。ほかにジュークボックスをかけるとやはりホログラムでフランク・シナトラ⬇︎が出て来て歌う姿を見るのも楽しい。ヴィルヌーヴのサービス精神に感謝だ。

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音楽といえば、ハンス・ジマーベンジャミン・ウォルフィッシュが担当しているが、重低音中心に、ずーっと鳴り響かせていて、その効果は絶大だ。また警官Kが起動するところで使われるのはプロコフィエフの「ペーターと狼」からの有名なメロディー。

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ハリソン・フォードもすでに75歳、さすがに背も縮んでるし、老いは隠せないが、まだまだ魅力たっぷりの俳優だ。

本作を”滅多に見かけない駄作”と一刀両断する批評もあるようで、特に前作を見た観客からどのような評価が出るか、戦々恐々だったとはヴィルヌーヴ監督談。

でも、長くて退屈するようなことはなく、こういう作品は好みの俳優の演技と映像美を楽しめれば、それでよしとしよう。

#73 画像はIMDbとALLCINEMA on lineから