171102
日頃応援している青栁・江口夫妻がかかわっているスターファーム(新人オペラ歌手発掘・育成システム)の記念すべき第1回公演。傘下の若手歌手たちが十数人(女性が圧倒的に多い)が入れ替わり立ち替わり登場し、日頃の研鑽の成果を披露するという趣向。
開演時間になると、稽古中らしきスタジオ、わらわらと歌手たちが登場して、てんでに屈伸運動をしたり、おしゃべりに熱中したり。そこへ演出家らしき男が現れ、新人たちに一席ぶつのだが、ここが一つのポイントで、名前の由来にもなっているスターに触れる。夜空にどれだけの星があるのか、君たちはその中の一つ。シューティングスターになるか、一等星として輝くかは、これからの研鑽次第と。
これが第1層で、その後、この演出家は作曲家ジョルジュ・ビゼー役としても登場することになり、なかなか重要な役割だ。ジョルジュ・ビゼーを取り巻く人々、声楽教師の父親、ピアニストだった母親、女中でビゼーと密接な関係になる女たちが登場、これが第2層。
そして第3層は、助演が出てくる、ほんとのオペラ「カルメン」。映画の世界では、よく使われる時間軸をずらして、フラッシュバックが多用される手法だが、舞台、それもオペラでこのような演出はやはり珍しいだろう。さすが三浦アンコウだ!
それと下の写真では定かではないが、舞台装置が素晴らしい!光る素材の幕にジョルジュ・ビゼーのサインを大きく描き、手前には5枚の縦長キャスター付きパネルが並び、出演者が舞台の進行に合わせて自在にこれらを入れ替えていき、エンディングで、裏返し(本来こっちが表)にすると、CARMENという文字と、派手なカラーで闘牛士の絵が現れる仕掛け。オシャレ!!
今回はできるだけ均等に全員に役を割り当てる意図から、昼夜公演で、まったく違うキャスティングにしている。であれば、本来両方見るべしなのだが、夜は夜で別のコンサートが入っていて、後ろ髪を引かれる思いで、会場を後にした。
さあて、この中から、将来日本オペラ界を牽引するようなスターがどんだけ出現するか、楽しみにしたい。
助演でドン・ホセを演じた青栁素晴、予想以上に出番が多かったので、なにか得した気分。
#73 (文中敬称略)