171105
昨年も同じ日に第62回定期演奏会を行っているが、場所はミューザ川崎。ラフマニノフの P協2番とシンフォニー2番という組み合わせ。
今年は会場をアプリコに移し、演目は「皇帝」と「悲愴」である。超がつく人気演目で、好天にも恵まれたせいか、開場時間の10分前に会場に到着したら、いつ果てるとも分からぬほどのの長蛇の列!こりゃいかんと、一旦は帰りかけたのだが、結末が知りたくて、1階ロビーでスタンバイ。他にも並びたくない高齢者たちがその辺に座ったりしていた。開演5分前になって、列の最後尾が目の前に到着、その辺にいた連中も一斉に中へ。さすが大ホール、これだけ長い列でも見事吸収してしまった。
「皇帝」を弾いた東 誠三って、私は知らないピアニストだが、巷ではかなり高名だそうである。大柄で指も長いらしく、えらく軽々演奏していた。ブラーヴォと喝采、凄まじく鳴り響いていた。もちろん演奏には文句あろうはずなし。参りました!
メインイベントの「悲愴」では、いきなりハプニング。冒頭の有名なバスーン・ソロで、音が一瞬出なくなってしまった。2小節の最初のソの音である。
恐らくリードになんらかの不具合が出た模様。額にじっとりと脂汗が光る。その後も不調で、なんども首をかしげるしぐさ。後半はやや持ち直したが、終演後はうちのめされたようで、ちょっと気の毒だった。しかも、マエストロから最初に喝采を浴びるようにスタンディングの指示。それを一瞬だが、嫌がるような仕草も。
団員たちが左右の袖にはけ始めても、顔面蒼白のままで、近くの他の団員から慰められていたようだ。直前の練習時に、その辺、調整出来なかったんだろうか。かなりショックだったろう。
最初にあの超有名な旋律を弦が奏でるところで、ホルンの音が大きすぎで、ちょっともったいない気がしたが、ま、それでも演奏自体はその後、しっかり持ち直して、終わってみれば、一応の成功だろう。
あの冒頭部分だが、なぜかチャイコフスキーの5番でも感じるのだが、広大なロシアの大雪原に夕日がゆっくり落ちていく光景が想像されてしまう。なにか刷り込みができてしまったようだ。
#75 (文中敬称略)