ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

井上道義&村治佳織with都響@アプリコ大ホール

171123 つい先日、こんなホールに自分たちが乗っていたとは!しばし感慨に浸った。

前から7列目で、ギター演奏にはピッタリ(ギターの表面にスポットライトが反射して眩しいこと!)だったが、チャイ5を聴くには、ちょっと・・・!

f:id:grappatei:20171124183506j:plain

村治佳織は、さんざんテレビでは見たり聴いたりしているが、生ムラジは初めて。青みがかったグリーンのブラウスに、ジョーゼット風素材のヒダヒダがついた黒のスカートという姿で登場。登場するや、「かわいい!」と会場にちょっとしたどよめき。

f:id:grappatei:20171124184100j:plain

⬆︎これはどうやら最近の「サワコの朝」の映像らしい。もともとご覧のような美貌、というより可愛らしい姿が印象的なギタリスト。加えて、技もピカイチとくればまさに怖いものなしなのだが、何年か前に舌に腫瘍ができて、かなりの期間、演奏活動中断を余儀なくされたらしい。でも、まだ39歳、今後も国際舞台での演奏活動の幅もどんどん広げていくことを大いに期待したい。

1999年、某テレビ番組でパリ留学中の村治がマドリッドホアキン・ロドリーゴ邸を訪問し、当時97歳の巨匠の前で彼の作品を演奏した場面を鮮明に覚えている。この半年後にロドリーゴは亡くなるわけだが、きちんとネクタイまで締めて若き日本の女流ギタリストを自邸に迎えた姿には感動した。すでに目は見えず、耳も遠かったと思うのだが、最後まで姿勢を保って聴いていた姿が忘れられない。

f:id:grappatei:20171124191345j:plain

さて、この日の演奏、上にも書いてあるが、ロドリーゴの前で弾いたのが、この「小麦畑で」というソロ。しみじみ心に響く曲であり演奏であった。今日の照明の当て方がまた素晴らしく、見事なまでに村治佳織の姿を捉え、演奏まで浮かび上がらせていた。「アランフェス協奏曲」も、アンコールで弾いた「アルハンブラの思い出」も、どちらの演奏も文句なしにゼッピン!

後半は一転、重々しいチャイコフスキー交響曲。どれもいいが、やはり5番が一番胸に響く。出だしのクラリネットの響きで即、チャイコフスキーの世界へ没入。

ただ先日、ゲヴァントハウスを聴いたばかりの耳には、ほんの僅かだが、粗さのようなものを感じた。尤も、前から7列目で聴いたせいかも知れない。こういう曲を聴くには、もともと無理な位置だろう。弦の音ばかりが強調されて、いささかバランスを欠く結果になったのは、そんなところに座る方が悪いのだろうと自分の中では言い訳しきりであった。

#79