ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「光」

171126 脚本・監督:大森立嗣 原作:三浦しをん 137分 

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力作だが、ストーリー的には、割と定番。「ミスティック・リヴァー」(クリント・イーストウッド監督)などでも採用している手法。

25年前、幼少時の異様な体験が、同じ体験をした者それぞれにさまざまな影響を与え、因果がめぐるような衝撃的な結末へと導いていく。井浦 新、瑛太、それに平田 満はいい演技だが、女優陣の演技が見劣りがするのが残念。

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25年前、離島で起きた殺人事件、それはその後、島を襲った津波がきれいに流し去ってくれたはずではなかったのか。ある証拠写真を巡って、津波を生き延びた4人の間で血みどろの葛藤が始まり・・・再び、何事もなかったかのように静かな人生へと戻っていく。犠牲者を出しながら。

強烈な音楽と、静謐な画面が織りなす奇妙なコントラストが強い印象を与える。死体を埋めたはずの床下からニョッキリ生える樹木はなにを語るのか。ラスト近く、父親の久しぶりのご帰還に大喜びしまくる娘の演技が凄い。ラストはこの子の名前である椿の花が一面に落ちていて、最後はそのクローズアップ。まだ死人が出るよ、という暗示か。

この作品のテーマ、日常の中の暴力性ということなのだろうが、ちょっと描き方が粗いというか、弱いかな。普通の人間が、この程度の欲望から、そこまで暴力性を帯びるのか、いささかすっきりしないまま映画館を出た。

#77 画像はALLCINEMA on lineから