ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ユダヤ人を救った動物園 〜アントニーナが愛した命〜」

171215 原題:THE ZOOKEEPER'S WIFE チェコ/イギリス/アメリカ合作 127分 監督:ニキ・カーロ(NZ出身の女性、「クジラの島の少女」2002、「スタンドアップ」2005)

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実話に基づく作品。いわゆる戦争秘話。ポーランドの首都、ワルシャワが舞台。時は1939年、突如ドイツ軍の爆撃が始まる。

子供の頃から動物を愛してやまないアントニーナ(ジェシカ・チャステイン)は、夫ヤンと共にここで動物園を運営している。

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これ以上ないほど平穏な日々。その日までは。ヤンは不穏なものを感じ始め、アントニーナに地方へ疎開を強く勧めるのだが、動物たちとの別れを嫌がり、ヤンも自分の案を引っ込めざるを得ない。しかし、ヤンが案じた通りの展開に。

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動物園も爆撃され、多くの動物も犠牲になる。そんな中、ナチスの将校で動物学者でもあるヘック(ダニエル・ブリュール)は、希少動物だけでも、避難させたいと提案。喜んでその提案を受けるアントニーナ。しかし、ヘックは次第にアントニーナに惹かれ始め・・・。

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やがてユダヤ人たちへの迫害が始まり、ゲットーに押し込められる。親しい友人だけでもと自宅の広大な地下室に匿う決心をするアントニーナに、ヤンはできるだけ多くのユダヤ人を匿うことを提案。幸いにもここに匿われたユダヤ人たち、ピアノの音を合図に昼間はひっそりと音を立てずに過ごす日々。

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次第に戦局が不利になり始めるとナチスは、ユダヤ人たちを強制収容所へ移動させ、ゲットーを徹底的に焼き尽くす。アントニーナを訪問するうちに、ヘックもアントニーナが何か自分に隠しているとうすうす気づき始める。

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ソ連軍がそこまで迫る中、アントニーナにまんまと騙されていたことを知り、怒り狂うヘックも、もはやなすすべなし。

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戦後、感動の家族の再会。この息子、同じ子役が演じているが撮影中に随分背丈が伸びたようだ。

生きる力、諦めない精神力、家族愛が本作のテーマ。主演のジェシカ・チャステインがうまい!英語が母国語でない人物がしゃべる英語をよく研究していて、それがリアリティーを生み出している。

園内のシュロの木が嘘っぽい。ワルシャワではあり得ない光景。撮影場所はどこか、かなり暖かいところだろう。善良な役の多いダニエル・ブリュール、珍しくかたき役だ。あまり似合わない。

#87 画像はIMDb、およびALLCINEMA on lineから