ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ラッカは静かに虐殺されている」

180505 CITY OF GHOST  米 92分 監督:マシュー・ハイネマン

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市民ジャーナリストが死を覚悟して世界に報道し続けた真実。我々の想像を絶する世界だ。断片的に動画では報じられていたことだが、これほどだったことは、世界中、誰も知らない。スマホによる動画撮影がメインだろうが、一部は大型カメラによる撮影も含まれるが、決死の覚悟によるその迫真の映像には正直ビビる。

RBSS(RAQQA IS BEING SLAUGHTERED SILENTLY 邦題にもなっている「ラッカは静かに虐殺されている」)と自ら名乗るシリアの市民ジャーナリストグループが、国内組と国外組に分かれ、密に連携を取りながら世界に真実を生々しく発信し続けるが、執拗なISにアジトを急襲され、次々に親兄弟、かけがえのない仲間を殺されていく。

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ならばと、少しでもISから遠ざかるためにシリア国境近くのトルコに一時的に逃れて密かに活動するも、そこも危険になったためにドイツへ。

ところが、そこすら彼らには安住の地にはなり得ない。ドイツ国内では、折から中東難民に対する極右のむき出しの敵意で、一人また一人と仲間が去り、いったい地球上の何処に彼らの居場所があるというのか?

ISの想像以上の残虐非道振りには見ていて胸糞が悪くなる。それに公開処刑のシーンなども出てくるので、見るには覚悟がいる。ポルポト政権下のカンボジアの惨劇を描いた「キリング・フィールド」(1984)を思い出した。

#34 画像はIMDbから