ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

コバケンで、好きなドボルジャークをたっぷり!

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近くのアプリコでこの組み合わせは願ったり叶ったり。早めに予約していた席はいつものように左サイドのバルコニー席、前から2列目。

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この若いチェリスト、なかなかの力量を、いとも軽々と示してくれた。ドボルジャークのチェロ協は昔から大好きな一曲ゆえ、数え切れないほど聴きに行っているが、今日の演奏も素晴らしいもので、鳥肌の立つ思い。典型的な童顔で、こうも淡々と弾いちゃうのが、なんともちぐはぐ感があり、それも見ていて微笑ましくもあった。

3楽章のどれもが素晴らしいのだが、2楽章の終楽部ののどかな感じは、何年か前に列車で旅行したチェコの車窓風景が、自然に浮かんできた。それが一転、3楽章に入ると、コンバスの低い、プレストの刻みが特徴的な導入部から、チェロが力強く小気味好い旋律を奏でていく。そして一気に高みへと。いやあ、素晴らしかった。

8番は比較的聞く機会が少ないのだが、これも随所にボヘミア的な旋律がちりばめられており、管の出番がすこぶる多い。とりわけ、木管に特徴的なメロディーを吹かせている印象。

コバケンの指揮ぶりは今更だが、前半はいちおう楽譜を見ながら、ごく普通に振っていたが、後半、8番では、いつもの暗譜スタイル。まるでスクワットをやるがごとく上下に激しく動きながら振るから、指揮台は多分かなり邪魔なはずだ。やはり「炎」が一番似合う指揮者だ!

ところで、岡本侑也がアンコールを弾いてくれたが、これがまたとんでもない曲で、オケのメンバーたちも興味津々で耳をそばだてていたのが面白かった。シチリア出身のチェリスト兼作曲家、ジョヴァンニ・ソッリマの作品、Lamentatioという難曲。徹頭徹尾、技巧を凝らした曲で、それをまたなにごともないかのごとく弾いてしまった。おそるべし!

後で聞いたら、8番の後で、アンコールとしてもう一度最終楽章のプレスティッシモをやったとか。こちらは合唱練習が遠方であるものだから、8番が終わるや否やアプリコを飛び出して、JRに飛び乗った。

#62 文中敬称略