ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「日々是好日」

181016 監督:大森立嗣

そこそこの家庭環境だが、特別才能に恵まれてるわけでもなく、打ち込める趣味もなく、何かに憧れるわけでもなく・・・ただ平々凡々に生き、気がつけばかすかな焦りにも似た感情すら覚え始める。こんな青春時代でいいわけないとの思いが次第に支配的に。

そんなある日、母親に言われた何気ない一言が自分のその後の人生を決定づけるとは!

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いとこの美智子(多部未華子)と茶道教室へ行くことにする典子(黒木 華)。そこで出会った武田先生(樹木希林)から教わったこととは。四季折々の豊かな風情を湛えながら、二十四節句の節目節目で、典子の人としての成長ぶりを淡々と描いて行く。

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上、「はい、軽いものは重々しく、重いものは軽々と、いいですね!」

主役の黒木 華の所作振る舞いが素晴らしい。それにも増して、樹木希林の自然な演技がたまらない。遺作となる作品が来年公開されるらしいが、彼女の演技を一瞬たりとも見逃すまい、聴き逃すまいと見入ってしまった。

それにしても、”和”の世界の美しいこと!和室、和服、庭、和菓子、そして茶の世界、これらを余すところなく描いた大森監督の手腕には驚かざるを得ない。本作は国内はおろか、海外でも高い評価を受けることは間違いない。日本人としてまことに誇らしく思える佳作。

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⬆︎あれから24年、父親が急逝し、庭の桜を見ながら、感慨に耽る典子と武田先生。樹木希林の老け方が見事すぎる。

#77 画像はALLCINEMA on lineから。