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今回もまた幸運にもブロガー対象内覧会招待者に選ばれた。さすがに日が短くなり、寒さも加わって来た中、勤務先から丸の内の会場へ急いだ。
フィリップス・コレクションは今から13年前になる2005年夏に森アートギャラリーで開催されていて、その時の目玉は何と言ってもルノアールの大作「舟遊びの昼食」で、その後のパリ旅行の際、実際にこれが描かれたレストランまで訪ねた思い出がある。その時は絵画56点、彫刻4点ということで、今回はそれを凌ぐ点数となる72点もが来日。
まず誘導されたのは、館内ショップ!これまで例のないことで、さきに買い物でもしてもらおうかということかと思ったら、さにあらず。実は、ワシントンD.C.にあるこの美術館オープン当時の内部を1/12の国際基準縮尺を用いて復元した、いわばドールハウスを見てもらおうという趣向。
当時の館内の様子を写した写真は白黒であり、これをカラーにするには、製作会社の手腕が大きく物を言った様子。絵画自体は、実物があるので縮小化に問題はなかったのだが、置いてあるソファのファブリックをどうするか。結局、色は想像し、柄は忠実に再現して実際に縮小サイズで織ったというから、驚く。
⬆︎同館のツイッターから。
ショップでの説明の中で、もう一つの話題は、今回展示の72点のうち、絵画作品は68点で、そのうち64点を絵葉書にして並べているとのこと。先日、その全部を買い上げた人が出て、それならばとそのすべてを網羅した特別限定版を@¥5,000で提供したら、これも売れ行き好調とのこと。考えてみれば、その半分の価格で図録が買えるのにと。
滅多にないことだが、今回は一部作品(上記)を除いて、額縁込みなら1点撮りのOKが出た。
やがて上の内覧会スケジュールにあるように、学芸員とナビゲーターによるトークショーがあり、今回の企画展の概要、あるいはフィリップス・コレクションについてのお話、さらには、館内展示方法について、コレクション側の責任者と微妙なやりとりがあったと、我々の知り得ない裏話の一端まで披露してくれた。
このサービス精神旺盛な若い安井学芸員だが、今年の春開催された「ルドン、秘密の花園展」により、つい先日、第13回西洋美術振興財団賞を受賞した売れっ子学芸員である。話の面白さと話術の巧みさには定評がある。
すべて選りすぐりの凄い作品ばかりだが、その中から29点ほどピックアップしてみた。
モネはこの主題、何点も描いているので、見たつもりだったが、別の作品だったのだろう。
いかにもシャルダンっぽい。上品な色使い。清楚な佇まい。
これもいかにもクールベらしい特徴がよく出ている。
後ろの柱、女の頭髪、犬の顔、ワインのボトルまでの縦の線が見事に生かされている。
ヴァイオリンの魔術師の特徴をよく捉えたのはさすがドラクロワ。パガニーニの狂気が全身から迸っているように見える。
アンリ・ルソーの「ノートル・ダム」1909年制作、1930年購入。33 X 41cm カタログNo.34
ピエール・ボナール、「棕櫚の樹」変わった構図である。せっかくの人物像が影になっていて、遠方に光が当たっている。1926年制作、1928年購入。
点描派の雄、ジョルジュ・スーラの作品としては、かなり小さな作品であるが、あまり点描点描していないところが面白い。
一目でデュフィと分かる作品。
ドミニク・アングル、水浴の女(小)、1826年制作、1948購入、33 X25cm
アメデオ・モディリアーニ、「エレナ・パヴォロスキー」 1917年制作、1949購入、65 X 49cm
斬新な色調と構図で強いインパクトを感じる作品。
雨の様子が面白い!
こうしたボトルなどを並べた静物画ばかり描き続けたモランディ、根強いファンが多い画家。
というわけで、重要な作品揃いという意味では、稀に見る素晴らしい展覧会!来年2月11までやっているので、近代西洋絵画に興味のある人には必見!
なお、詳しくは→ 三菱一号館美術館のホームページ