ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「フィリップス・コレクション展」ブロガー内覧会@三菱一号館美術館

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今回もまた幸運にもブロガー対象内覧会招待者に選ばれた。さすがに日が短くなり、寒さも加わって来た中、勤務先から丸の内の会場へ急いだ。

フィリップス・コレクションは今から13年前になる2005年夏に森アートギャラリーで開催されていて、その時の目玉は何と言ってもルノアールの大作「舟遊びの昼食」で、その後のパリ旅行の際、実際にこれが描かれたレストランまで訪ねた思い出がある。その時は絵画56点、彫刻4点ということで、今回はそれを凌ぐ点数となる72点もが来日。

まず誘導されたのは、館内ショップ!これまで例のないことで、さきに買い物でもしてもらおうかということかと思ったら、さにあらず。実は、ワシントンD.C.にあるこの美術館オープン当時の内部を1/12の国際基準縮尺を用いて復元した、いわばドールハウスを見てもらおうという趣向。

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当時の館内の様子を写した写真は白黒であり、これをカラーにするには、製作会社の手腕が大きく物を言った様子。絵画自体は、実物があるので縮小化に問題はなかったのだが、置いてあるソファのファブリックをどうするか。結局、色は想像し、柄は忠実に再現して実際に縮小サイズで織ったというから、驚く。

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⬆︎同館のツイッターから。

ショップでの説明の中で、もう一つの話題は、今回展示の72点のうち、絵画作品は68点で、そのうち64点を絵葉書にして並べているとのこと。先日、その全部を買い上げた人が出て、それならばとそのすべてを網羅した特別限定版を@¥5,000で提供したら、これも売れ行き好調とのこと。考えてみれば、その半分の価格で図録が買えるのにと。

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滅多にないことだが、今回は一部作品(上記)を除いて、額縁込みなら1点撮りのOKが出た。

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やがて上の内覧会スケジュールにあるように、学芸員とナビゲーターによるトークショーがあり、今回の企画展の概要、あるいはフィリップス・コレクションについてのお話、さらには、館内展示方法について、コレクション側の責任者と微妙なやりとりがあったと、我々の知り得ない裏話の一端まで披露してくれた。

このサービス精神旺盛な若い安井学芸員だが、今年の春開催された「ルドン、秘密の花園」により、つい先日、第13回西洋美術振興財団賞を受賞した売れっ子学芸員である。話の面白さと話術の巧みさには定評がある。

すべて選りすぐりの凄い作品ばかりだが、その中から29点ほどピックアップしてみた。

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モネはこの主題、何点も描いているので、見たつもりだったが、別の作品だったのだろう。

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いかにもシャルダンっぽい。上品な色使い。清楚な佇まい。

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これもいかにもクールベらしい特徴がよく出ている。

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後ろの柱、女の頭髪、犬の顔、ワインのボトルまでの縦の線が見事に生かされている。

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ヴァイオリンの魔術師の特徴をよく捉えたのはさすがドラクロワパガニーニの狂気が全身から迸っているように見える。

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アンリ・ルソーの「ノートル・ダム」1909年制作、1930年購入。33 X 41cm カタログNo.34

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ピエール・ボナール、「棕櫚の樹」変わった構図である。せっかくの人物像が影になっていて、遠方に光が当たっている。1926年制作、1928年購入。

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点描派の雄、ジョルジュ・スーラの作品としては、かなり小さな作品であるが、あまり点描点描していないところが面白い。

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一目でデュフィと分かる作品。

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ドミニク・アングル、水浴の女(小)、1826年制作、1948購入、33 X25cm

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アメデオ・モディリアーニ、「エレナ・パヴォロスキー」 1917年制作、1949購入、65 X 49cm

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斬新な色調と構図で強いインパクトを感じる作品。

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雨の様子が面白い!

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こうしたボトルなどを並べた静物画ばかり描き続けたモランディ、根強いファンが多い画家。

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というわけで、重要な作品揃いという意味では、稀に見る素晴らしい展覧会!来年2月11までやっているので、近代西洋絵画に興味のある人には必見!

なお、詳しくは→ 三菱一号館美術館のホームページ