ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ムンク展」@東京都美術館

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高齢者無料日だが、午後は第九合唱の練習があるので、いつもの夕刻の時間帯には行けない。ゆえに、かなりの混雑が予想されるため、逆算して早めに出かけた。これが予想したほどでなく、40分待ちの表示。実際には30分ほどで内部へ。ほどほどの混み具合で、普通に鑑賞できたのは幸いだった。

全部で101点で、全部がムンクの作品というところが素晴らしい!一般的には同時代の別の画家たちの作品もならべたりして、ある種、”お茶を濁す”ようなことは、よくあるのだが、その点だけでも大いに評価できる。リトや版画も多少はあったが、圧倒的に油彩が多かったのもよかった。

作品の詳細は、【公式】ムンク展ー共鳴する魂の叫びに譲るとして、これだけの作品群を一堂に並べることは世界的に見てもまず滅多にできないことゆえ、美術愛好家には必見の展覧会!自分には特に好きな画家というわけではないが、やはり北欧を代表する画家であり、独特の世界観を世に問うた稀有な画家であることは間違いない。

早死にした画家というイメージだったが、実際には享年80(1863-1944)というから、むしろ長生きしたのだった。彼の生きた時代は、祖国がスェーデンから独立、その後、第1次、第2次世界大戦というまさに激動の時代であり、作品にもそういう時代感が漂っている印象を受けた。

また、必ずしも家庭的に恵まれた環境ではなかったことや、自身、健康上の問題を抱えていたなども、色彩感覚などに影響を及ぼしていたことは十分考えられる。ことさら緑や赤を多用する傾向が見られるが、画面からは悲哀、諦観などが漂い、全体としては暗い印象を受ける。

例の「叫び」だけは、混雑を避けるためか、手すりを設けて、そこに並ばせる手法をとっていたが、あまり意味のあることとは思えない。もちろん、そこの列には並ばず、多少距離はあっても、勝手に見る方を選んだ。

またショップの混み具合、尋常ならず。彼の作品は商品化しやすいのだろうか。前評判通り、素晴らしい展覧会だった。