190327 NAPSZÁLLTA ハンガリー・フランス合作。脚本・監督:メネシュ・ラースロー(「サウルの息子」'15)
自分は一体誰なのか!自らのアイデンティティーを求め続け、やっとのことで生まれ育った家、両親が経営していた帽子屋に辿り着くも、今では人手に渡り、冷たいあしらいを受ける。確か、兄がいたはずだが、あまりに幼かったため、何も思い出せない。
映画は、思い詰めたような表情で、自らの生家である帽子屋で経営者に案内を乞うシーンから始まる。時代は1913年、開戦前夜のブダペスト。
混乱の極致のハンガリー・オーストリア帝国の中心地、ブダペスト。華やかな中にもいかにも不穏な空気が充溢している、その感じが画面から色濃く漂う描き方が巧みだ。
2時間を超える作品で、物語を俯瞰しているわけでもなく、非常に分かりにくい筋立てが難。一言でいえば、かなり観衆に不親切でもある。
混乱のど真ん中に放り込まれた感じのある主人公、最後はなんとかこのカオスから脱出できたものの、身の置き所もなく、いつしか従軍看護婦として、土砂降りの前線の塹壕の中に見出される。
一途で、思い詰めたような視線を周囲に送り続ける主人公、笑顔を一度も見せることなく幕となる。あまり後味のいい作品ではない。
#19 画像はIMDbから