ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「記者たち~衝撃と畏怖の真実~」

190411 SHOCK AND AWE (衝撃と畏怖)、米 91分 製作(共)・監督:ロブ・ライナー(出演も)

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例の湾岸戦争がいかに仕組まれたかを暴く記者たちを描く。

カトリック聖職者たちの幼児性的虐待を暴いたボストン・グローブ紙の活躍を描いた「スポットライト」('16)、や、ベトナム戦争へと駆り立てたでっち上げの数字による政府の陰謀を暴いた「ペンタゴンペーパーズ」('18)などと軌を一にする、実話に基づく社会派ドラマ。

ありもしない大量破壊兵器保有していると主張して、無謀な戦争を仕掛けた当時のW.ブッシュ政権、とりわけチェニー副大統領、ラムズフェルト国防長官ら、いわゆるネオコンと呼ばれる連中の”陰謀”だったことは明白。

ほとんど展開が読めるので、もうひとひねりしてくれないと、映画化した面白みがない、と言う意味で、これは残念ながら凡作!

それにしても、当時は'01年の9.11による世論が盛り上がっていた時期だけに、大衆はにっくきアラブ一色で、ましてニューヨークタイムズのような大新聞が政府の言うなりの記事で煽れば、こういう結果になるということ。

これに対して、映画で扱われている弱小新聞社「ナイト・リッダー」社は、地道に関係者からウラを取りながら、政権の嘘を暴いて行く。この辺りは前述の2作品とそっくりの展開。

イラク戦争後、ニューヨークタイムズは、大量破壊兵器がなかったという結果を受けて、正式に謝罪したらしいが、政府はほっかむり。結局、ネオコンというのは、”戦争”をでっち上げて金儲けを企む連中のことだけに、始末が悪い。そういう意味では、悪評高いトランプの方がまだマシなのか。

翻って、ずっとアメリカの主張を鵜呑みにしていた日本政府は、そのことには一切触れないまま。いつものように誰も責任を取る気、一切なし!

#23 画像はIMDbから