ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「僕たちは希望という名の列車に乗った」

190627 DAS SCHWEGENDE KLASSENZIMMER(沈黙の教室)独 111分 脚本・監督:ラース・クラウメ(「アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男」'16)

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暗示的なデザインだ。彼らの未来は?

1956年秋、遊び盛りの高校生、クルトとテオ、住んでいる東独の町、スターリンシュタット(現アイゼンヒュッテンシュタット)から電車で西ベルリンへ。(一応簡単なチェックがあるだけで、この頃は西側との移動はそれほど厳しいものではなかったことが分かる)。劇映画を見ようと潜り込んだ映画館で本編上映まえに流れたニュース映画にハンガリー動乱の様子が。衝撃を受けた二人はさっそくクラスメートに相談し、2分間のの黙祷を捧げることに。

このことを当局が知ることとなったから、さあ大変!さっそく首謀者探しが始まるが、彼らの連帯意識は固く、結局分からず仕舞いとなり、その代わりクラス全員に対し厳しい処断が下りる。退学となった彼ら、このまま卒業できないことになれば、社会主義国家では将来を閉ざされるに等しい。彼らが取った秘策とは!

この中の一人が書き残した「沈黙する教室」を原作として、一部固有名詞などを変更し、ほぼ実際に起きたとおりにラース・クラウメが脚本を書き、映画化したもの。

厳しい当局の尋問に対抗する若い力がすがすがしい。首謀者探しに、自然の流れでこうなったと答え、さらに追求されると、全員が順に「私の提案です」と立ち上がる緊迫の場面は、デジャヴュ感たっぷり。どの作品か思い出せない。(これを読んだ友人から「スパルタカス」ではないかとの指摘。確かに、ローマ軍が首謀者を特定しようとすると、次々に『俺がスパルタカスだ!』と立ち上がり、混乱させる場面があった。しかし、他にも似たようなシーンのある作品があったはずだが思い出せぬ。)

東独を舞台にした作品では、「善き人のためのソナタ」、「グッバイ、レーニン」、「東ベルリンから来た女」など秀作が多い。またナチスに対抗して若い命を散らした「白バラの祈り ゾフィー・ショルの最期の日々」も思い出される。

#38 画像は IMDbから