ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「シークレット・スーパースター」

190828 SECRET SUPERSTAR インド 製作・出演:アーミル・カーン、監督:アドヴェイト・チャンダン 主演:ザイラー・ワシム

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インド地方都市で、驚異の歌唱力を持つ少女が、スターダムを駆け上がって行く話。

トンデモ親父ゆえ、学業一筋にと歌うことを禁じられたインシア、一計を案じ、ブルカに身を包み、自らの歌唱を動画サイトにアップすると一気に話題沸騰。

母親が真珠のネックレスを売ってインシアに買い与えたパソコンで何とか売り込む方法を探るが、それを知った父親からパソコンを捨ててこい言われ、泣く泣く4階の窓から投げ捨てるのだった。

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夢を断たれたかに見えたインシアだが、彼女に想いを寄せるクラスメートに助けられ、非常識な行動に打って出る。絶大な人気を誇りながら今は落ち目の音楽プロデューサーの力を借りようというのだ。

一種のシンデレラストーリーだが、笑いの要素たっぷりで、最後はお涙ちょうだい、さらにさらにエンドクレジットが流れ始めてから、最後の最後にまた笑わそうというサービス精神に溢れかえった、やかましくも哀しいインド映画。

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このアーミル・カーンの濃い顔と演技で散々笑される。大した役者だ!163cmしかないらしいが、スクリーンでは大きく見える。これまでも様々な役作りに没頭するタイプとか。

言語はヒンディー語がメインだが1割程度、英語が入る。会話の中でも頻繁に英語が聞こえるが、これがインドの日常会話なのだろう。

インシア一家は中流階級という設定のようだが、ベッドがなく居間の床に薄い布団を敷いて寝起きしている光景は意外である。そして男尊女卑の描かれ方も、ホンマかいなと思うほど強烈で、父親は絶対君主としてDVなどごく当たり前、それを必死で耐える妻役の女優が美貌だけに、見てるのが辛くなる。

そして父親の暴言・暴行を目の当たりにするインシアは父母を離婚させようと必死になるが母親から、「いいのよ、これで」と諭され、諦めるしかない。終盤、父親のサウジへの転勤が決まり、一家で空港に向かうが、チェックインカウンターで大揉めとなり、びっくりの展開へ。

夫婦間で延々と押し問答が続くが後ろに並ぶ搭乗客が誰も文句も言わず、また航空会社職員も何の手も打たないのがかなり奇妙に映るが、まあそれはどうでもいいことなんだろう、この際。

#51 画像はIMDbから