ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ラウル・デュフィ展 - 絵画とテキスタイル・デザイン -」

191015 汐留のパナソニック美術館で開催中のデュフィーを観に行った。

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ポスターに使われている作品に見られるような鮮やかな色彩の調和こそが、ラウル・デュフィ(1877-1953)の真骨頂と思っていたが、実は1912年頃から、16年間に亘って、テキスタイルのデザインにも腕をふるっていたことを、今回、本展で初めて知った次第。

今回入口付近にまとめて展示されている油彩画だが、その数、14点、プラス、珍しく署名のないフレスコ画が一枚。他はすべてテキスタイル関連作品であるから、概ね1時間で鑑賞できる。彼が26歳の時に、印象派の影響を受けて描いた「グラン・ブールヴァルのカーニバル」が、とても初々しさを感じる作品。色は全体にくすんで見えるが、若さが漲っている。

ポスターになっている「ニースの窓辺」は51歳の時のもの。マチスの影響が大きいことはすぐ分かるが、他に、赤いヴァイオリンなどに見られる、単一色を基調にして、様々な色を試みる”調性画法”がデュフィ独特のもの。今回はその画法による作品が3点ほど。ちなみに音楽家だった両親の影響で、ヴァイオリンなどをモチーフにした作品やモーツァルトへのオマージュとなる作品も少なくない。

テキスタイルデザインに興味を持ち始めたきっかけは、当時、一流のデザイナー、ポール・ポワレに出会ったことだろう。その後、リヨンにある絹製造会社ビアンキーニ・フェリエ商会と契約し大々的に、デュフィ・デザインの織物が普及していったようである。そして1925年に開催された第1回アール・デコ博で、大いに話題を提供することに。

今回、おどろいたのは、出展油彩画のほとんどが国内の美術館・個人の所蔵であることで、松方コレクションや大原美術館は別格としても、日本人コレクターも大したものである。詳細→美術館ホームページ展覧会のみどころ

会期は12月15日まで