ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

ステファン・ポップを聴きに

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正直なところ、この名前はこれまでまったく聞いたことがなかった。ところが、検索したところ、世界の主要なオペラハウスには既に出まくっていて、日本ではあまり話題になっていないのが不思議なほど。

ルーマニア出身と言えば、まずはアンジェラ・ゲオルギュウが思い浮かぶが、ちょっと前なら1974年に来日しているソプラノのイリアナ・コトルバシュか。男性では大成したオペラ歌手は知らない。ポップはまだ32歳の若さだから、今後が大いに楽しみである。

ジャパン・ツアーと銘打っているように、すでにあちこちで公演してきて、この横浜公演がどうやら最後らしい。主催のサルヴァ・ベルカントという団体もまったく知らなかった。

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上の青く塗った5曲とアンコールの2曲、計7曲歌ったが、中では、「人知れぬ涙」が絶品だった。意識してやってるのだろうが、特に高音でピアニッシモを聞かせるあたりは、なかなかのテクニシャンだ。パヴァロッティの再来とまでは言えないが、歌い方がよく似ている。(ついでに、体型も)

ところでチケットの額面がかなり高額な割に、プログラム配布はなく、上のチラシが一枚だけ。ジャパンツアー限定プログラムとして、1部2,000円で販売していたが、ちょっとねぇ。

そういえば、昔ルチーア・ポップというソプラノがいたが、チェコ出身で、Popp、こちらはルーマニア出身で、Popだから、関係はなさそうだ。それにしてもステファン・ポップという名前はゴロもいいし覚えやすいから、これは有利に働くこと、間違いない。

しかし、「・・・とその仲間たち」が、もう少しなんとかならなかったのか。あまり贅沢は言えないが(知り合いの歌手からのご招待だったので)、例えば、このロベルト・ボルトルッツィ(Roberto Bortoluzzi)というバリトン、風貌はともかくとして、肝心の歌がイマイチ。そもそも声が響かないのが致命的。その上、聴かせどころの「ヤーゴの信条」では、歌詞をなんども間違えるなど、ブーイングが聞こえたのも仕方ないだろう。試しにYahoo!Italiaで検索したが出てこないぐらいだから、おそらく母国でも無名扱いの歌い手かも。

進行を務めた藤澤ノリマサ、ポップ・オペラというジャンルを紹介していたが、よく分からない。(ポップにひっかけたギャグかと思ったが)ポップスの歌唱をサビの部分でオペラ風に歌うというようなことか。自ら少しだけ高音を出して、ブラーヴォの掛け方の練習を聴衆にさせていたが・・・。

第2部では、まずは合唱でイタリア第二の国歌、「行け、わが思いよ、金色の翼に乗って」。主催のサルヴァ・ベルカントが募集した合唱団によるもので、何人か知った顔が。また、エンディングの「誰も寝てはならぬ」では、女性団員のみ衣装を思いっきり鮮やかなものにして登場、アンコール2曲目の「フニクリ・フニクラ」をポップと大合唱で幕。

アンコール1曲目は"À Luciano!"と言ってたから、パヴァロッティに捧げるということだろう、Non ti scordar di me忘れな草)。

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最後に、椿姫から「乾杯の歌」までサービス。ほんのワンフレーズだけマエストロが歌って会場の笑いを取る場面も。左から二人目がサルヴァ・ベルカントの代表者、3人目が藤澤ノリマサ

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終演後、楽屋口からステファン・ポップが出てきて、誰とでも気さくに握手したりおしゃべりしたり、笑顔をふりまいていた。

 

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